こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
連日 30台以上と言う猛烈な数のRCM製作と格闘してる工場ですが、ここで
ちょっとお知らせを兼ねたネタをご紹介したいと思います。
もうご存知な方も多いと思いますが、このA16とは 17インチホイール化した
空冷Zのフレームを オリジナルフレームにしたマシン・・・
フレームを交換する訳ですから当然 登録はどうするのよと言う事で、導き出した
道が、アメリカ カリフォルニア州ロサンゼルスにオートバイメーカーを設立して
現地でメーカーのライセンスを取得し、結果的にメイドインUSAの車両として
成り立たせたマシン。
きちんと正式な認可を受けた車両ですから 車検証上のメーカー名も【RCM】と
なっており、型式は ”AIRCOOLD ENJINEの2016年式” からもじって【A16】と
命名されたマシンでした。
1977年~78年の空冷Z、 KZ1000エンジンを搭載した A16・・・
画像のマシンはA16R-004で、シリアルナンバーから言えば4台目の車両。
このオリジナル鋼管製フレームは あのZレーサー3号機と同じもので、もちろん
サンクチュアリー本店で企画・設計、製造も自分達が手掛けた完全内製フレーム。
以前 国際ライダーでありながらRCMオーナーでもある友野氏に、このマシンの
テストライドをして頂いた際・・・
「凄い! コントローラブルで まるで600㏄みたい! でもエンジンフィールが
音も含めてZ特有で それが面白い!」 と お墨付きを頂いたんですが、その後は
展示車として ず~っとショールームに置かれっぱなしでして・・・
せっかく完成しているデモ車なんだから「試乗車にしよう!」 と、決まったのが
もう結構前で その事を知ってる人も割と多いんですが、昨年から今も続いている
RCMオーダーの集中から 工場での生産スケジュールが無茶苦茶になってしまい
ようやく最近になってリメイクが始まった次第でした・・・ (^_^;)
ちなみに今度は試乗車と言う事で、多くの人達が身構える事無く乗れる様にと
セパレートハンドルではなく アップハンドル仕様にリメイク致します。
さて、 実はこのエンジンが問題でして・・・
「なんだかパワー感が 乏しいかも・・・」 と、友野氏に指摘されたのを始めに
ROCブロックリーダーの田中吾希人が乗った時も「確かに弱い、なんで?」と
語っており、また かのPAMS竹部さんからも「何となくキレがないですね」と
言われて、思わず・・・
・・・・・・・・・・・。 (;^ ^Aウ~ン
確かにビッグボア化されてるエンジンではないので、怒涛のトルクや 伸びのある
ハイパワーな後軸出力とまでは期待できない仕様だが・・・
それでも このエンジンスペックなら、決して非力な仕様とまではならないはずで
誠太郎が 「なんでかな?」と、ず~~~っと気にして来ており、良い機会なので
エンジンを見直す事になったんです。
シャシーダイナモ上で何度かマップ調整しても、数値はほとんど改善されず・・・
このエンジンを組んだ者が今はもういない為、それならもう開けて見るしかないと
分解を開始しました。
そんなに悪い数値にはならないはず・・・ そういうメニューなのだから・・・
であれば潜在性能、ポテンシャルは眠ってる訳で、原因に思い当たる事があるのか
おもむろにバルブタイミングを見直し始めました。
タイミングホイールを用いたバルブタイミング設定は マグネットの固定具合や
ダイヤルゲージの誤作動など、意外に気が付いていないミスも起こるもの。
ロブセンターのわずかな誤差だけでなく、他の要因で1~2度でも違って来よう
ものなら そのちょっとした数値の積み重ねが大きなパワーロスへと繋がるから
極めて緻密に、改めて綿密に測定しました。
結果、誠太郎いわく「ほぼこれが原因だ」と言うのが わかった様です・・・
要因は圧縮設定だけにあらず、シリンダーヘッド回りに難あり。
でも 動弁系構造を最大限に引き出せる状態になかったのは確かで、これなら
面白いエンジンにリメイクする事は容易いと、むしろ ホッとした様子でした。
そもそも使用しているパーツ達、それぞれのスペックは強いものばかり・・・
となれば 各部位のマッチングを見直して コンマ数ミリ、あるいは1~2度と
言った繊細な仕様変更で、ドン! と馬力は変わる。
仕様変更した燃焼室の容積を、測定フルードで計測・・・
バルブタイミングとコンプレッションは、別々なものでありながらも密接に
影響し合っているので、理想の圧縮比にするべく最後の確認です。
先ほどから言っている通り、コンマ1mm、コンマ1㏄、 コンマ1度をあまく
見てると「おかしい、こんなはずでは・・・」と言う結果になるのが エンジン。
だから、たった1滴と言う考え方も命取りになる・・・
いや 車体や足回り、キャブセッティング等においても、ほんのわずかな要素が
大きな違いになりますから、やはり精密で精巧な技術が問われるのでしょう。
自分達がやっている事って 結局、地道な事の積み重ねなんですわ・・・ (^ ^;)
さぁ! 今度は面白いエンジンになるはず!
Zレーサー3号機の後軸152馬力なんてバケモノ級は無理でも、少なくとも
乗り手に不快感は感じさせない・・・
少なくとも楽しむ事が出来る、そんなエンジンに生まれ変わる事でしょう (^^♪
このA16R-004は、天候に恵まれさえすれば 今月末にショートコースでの
テスト走行が予定されており、そこで最後のチェックを得て試乗車となります。
梅雨真っ只中で、明けても今度は猛暑が予想されますが「乗ってみたい」と言う
方は是非、サンクチュアリー本店までお問い合わせ下さい。
「回りが最新ネイキッドやSS車で、Zだと ついて行くのがきつくって」とか
「Zは好きだけど最近乗るのがしんどくて、でもZが大好きだし・・・」 なんて
感じてる方は、このA16にショックを受けると思います。
百聞は一見に如かず・・・
乗ればわかります (^_^)v