前回に引き続き RCMー534 Z900RS 最終回、その(後編)です。
現場は締め切りが近い新カタログ ”The BIBLE₋9” の追い込みで、騒々しく
打合せしております。
スタジオでは撮影しながら具体的な話もするので、アッと言う間に時間が経ちます。
その BIBLE₋9の目玉になるのがZ900RSだったので、そっちはそっちで
今日を迎えるまで騒々しかったですが・・・ (^_^;)
待望の、ナイトロレーシング製 Z900RS専用アルミダウンチューブKIT。
苦労した甲斐あって 自分がイメージしていたフォルムの製品として完成しました。
この日はカタログ ”The BIBLE-9” の、Z900RSパーツのページ用に
品撮りも行っており、とにかく時間に追われていました。
なんか・・・
ここ1~2年、何もかも時間に追われてるなと痛感してます・・・ ( ̄▽ ̄;)
それでは、お見せしましょう 。
ナイトロレーシング製 Z900RS専用 アルミダウンチューブKITです。
Ninjaと違って、右と左のフレームレイアウトが違う為に だいぶ苦戦しました。
撮影直前の事、品撮り用にと用意しておいた固定用バーに、うっかりがありまして。
急遽、郡が近くのホームセンターでタップを買って来ました。
スタジオでタップ切ってる人は、この25年間の中で始めて見ましたね・・・ (^ ^;)
フレームの下側取り付けブラケットは それぞれ左右で独立した構造にしましたが
ここの右と左でネジ間ピッチは同じでも、フレーム周辺装備の関係から全く異なる
形状にする必要性があり、ネジの位置は左右同じでもブラケットの形は全く違うと
言う、そこに苦戦を強いられました。
エンジンにピッタリ寄せてるダウンチューブとして絶妙な軌道を通過させています。
ちなみにエキゾーストに取り付けるO2センサーは、このナイトロレーシング製の
マフラーであれば もちろん問題なし。
念のためノーマルマフラーでも試しましたが、取り付けに問題はありませんでした。
問題は他のメーカーさんのマフラーで、全て取り付け確認できてる訳ではないので
マフラーによってはO2センサーとダウンチューブが干渉する場合もあり得るかと
思われます。
そこだけ唯一、ご注意下さいね。
マスターブラケットは、Ninjaのダウンチューブ同様 削り出しの逸品を採用。
ダイヤモンドスタイル鋼管トラリスフレームの シリンダーヘッドと連結されてる
左右のアッパーマウント部にアダプターを固定し、そこにマスターブラケットが
組み付けされる構造で、これは整備性も考慮したもの・・・
この画像では わかりにくいですが、とにかく全体的にオフセットが激しく必要で
斜めに切削されていく部位が 表裏共に多く見られます。
隠れてしまって見えませんが、左下のフレームアダプターは 40mmのジュラルミン
インゴットからワンピースで削り出した、完全な一体型の 大きくオフセットさせた
贅沢なブラケット・・・
画像ではよく見えないのが残念ですが、ツーピースで造ったらよっぽど安く出来たに
違いないと言った形状です。
でも このワンピースでオフセットさせているのも拘った結果の構造で、大変でした。
様々なマフラーに少しでも対応させたいと エキパイを大きくよける裏側の肉抜きに
加え、激しくオフセットを繰り返しながら形造られるマスターブラケット・・・
総削り出しが故に強度・剛性も高く、むしろ なるべく重くならない様にと配慮する
形状にしました。
「部品の性能は材質や熱処理などはもちろん、最後は形状で決まる」 とは、かの
イタリア O・Zレーシングホイールの技術者達から聞かされた言葉・・・
軽いのに強い・・・ そんな 二律背反する性質を求めて図面を書いたんです。
内側のオイルパンと外側のクーリングホース、それぞれ2mm程度のクリアランスで
軌道を通させた 左ダウンチューブパイプ・・・
今回、中村が最も拘った ”なるべく車体側に寄せる”と言うテーマをクリアしています。
実はここ、ぶっちゃけ一番重要な部分だと感じてまして、自分でも絶妙にカッコよく
出来たなぁと 自画自賛 ♪
さり気なく自然に、でも よく見れば凄い部品で、取り付けてからもカッコいい・・・
そんな秀抜したダウンチューブにしたかったんです。
ラインナップは、この画像のがポリッシュシルバーで他にもブラックを準備しており
2色から選択して頂けるようにしています。
そうそう!この横から見た時の エキパイとダウンチューブ、そしてエンジンとの
隙間がほとんど無い 密集したルックス! カッコいいですねぇ・・・ (^^)/
ここがスカスカしていない、ギッシリ詰まっているメカニカルなスタイルこそが
求めていた理想でした。
ナイトロレーシング製 Z900RS専用アルミダウンチューブKITは、来年の
春からリリース予定。
先行でのご予約は承ってますので、納品まで少しだけお待ち頂ければと思います。
オプション的な存在ですが、おなじみ リダクションKITもご用意しました。
ダウンチューブ専用とノーマルフレーム用の2種類、ラインナップになります。
こちらも実は隠れたヒット製品・・・ ビレットライトステーKITです。
ノーマルのライトステーは、メーターやウインカー ホーンなど、マスク回りの
様々なパーツを同時に取り付けられる構造になっており、その為ライトステーを
交換してしまうと それら様々なパーツも取り付け出来る様にしなければならない。
ちゃんとやろうとしたら、それこそ結構 大変なんですわ・・・ (;^ ^A
でもこのビレットライトステーKITは、ノーマルライトステーの上から被せる
オーバープレート方式なので、簡単に取り付けができる・・・
ノーマルフォーク&ExMパッケージ、どちらにも対応している優れものでして
こちらもシルバー&ブラックの2色からご選択頂けます。
既にお気づきな方もいるかと思いますが、今年デイトナさんからリリースされた
RCMコンセプトハンドルバーとグリップエンドを採用。
そしてBrembo製ラジアルポンプマスターのレバーには、ダートフリーク製
ZETA RCMコンセプトフライトレバーが使用されており、この辺りの仕様は
いつも製作している空冷Z系RCMなんかと同じスペックになっております ♪
実はこのシートもデイトナさんのオリジナルでして・・・
奔放初公開ですが、Z900RS用 RCMコンセプトCOZYシートなんです。
まだ最初の試作品ですが、シートベースにはちゃんとプレートが貼ってありますね。
このRCMコンセプトシート、ただ単に あんこ抜きしただけと言うシートではなく
シートベースに一工夫を加えたもの・・・
あんこ抜きしただけだと路面からの突き上げがキツいと言う事で、シートベースの
形状から見直した 乗り易さ重視で製作されたもの。
ここまでやるかと言った、さすがデイトナさんと言う特徴あるシートなんです (^^)v
このシートの発売時期は 来年春以降との事ですので、お問い合わせはデイトナさん
もしくは全国の量販店さんなどからご購入頂ければと思います。
気が付けば2年と言う、とんでもなく長い製作期間が掛かったRCM-534・・・
確かに新製品の開発が集中していたのも原因の一つだし、仕事が激務化した2年で
あった事も もちろん遅れの理由でした。
ですが、何よりもRCMとして明確なコンセプトを持って臨んでいたのも大幅時間を
取られた要素・・・
新しい機種での試みなだけに どうすべきか、試行錯誤しながら進んで行ったんです。
そうは言っても、RCMとして造る以上 ”ここは!” と言う拘りが 既にしっかり
していた事も事実で (前編)でも伝えましたが、”洗練された都会的なセンス” で
カスタマイズするテーマは最初から決まっていた事でした。
足し算のカスタムは ほどほどに・・・
むしろ、ノーマルのままにしてあるパーツが幾つかあるのに お気づきでしょうか。
人それぞれに好きずきがありますから もちろん強要なんてする気はありませんが
ことRCMにおいてはチープ感が出ない様、実は ”敢えて” やってる演出なんです。
外装パーツもフロントフェンダー以外、全てノーマルに拘りました。
ここは他のショップさん達が色んな外装パーツを出してるし、しかもRCMの場合
そのバイクの素顔と言うか、本来のデザインを肯定すると言う考え方がありまして
それ故、ペイントはしても 形は一切を変えないと最初から決めていたんです。
ゼファー1100の時もそうでしたが、RCMはメーカーのデザインを出来るだけ
否定する事なく、全く違うバイクへと転身させます。
空冷のZ-1ではなく、あくまでも現行の水冷 Z900RS・・・
Z900RSと言うバイクが好きなのだから、空冷のZ-1ではないのだから・・・
そんな気持ちで臨みました。
RCM-534は ひと先ず完成を果たしましたが、この後のアップグレードプランが
もう動き始めています。
12月24日に久々リリースされる新カタログ ”The BIBLEー9” に合わせて
一端区切りしましたが、来年の春以降 ワイドラジエータKITなどNewパーツの
企画もあって、ラウンド2が予定されています。
他にもアイディアがポンポンと湧き上がっており、こりゃ~また来年も忙しいのは
ほぼ決定かなと・・・ ( ̄▽ ̄;)
それでも 空冷Zが手が届かなくなりつつある今、新たな時代の機種に力を注ぐのは
正しく節目であり、さける事ができない 必要な事なんでしょう。
ラウンド2では わずかな変化になりますが、完全な完成形態をお見せ致しますので
ぜひ楽しみにして頂きたいと思います。