こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
ふたたび、スタジオ撮影の続きです。
午前11時からスタートして、夕方までみっちり掛かるスタジオ撮影は、意外にも
体力・気力 共に消費します。
それでなくても今年になってから 増々忙しさが苛烈化しているバイクカスタム業界
ですから、日々疲労困憊しているメカニック達にとってスタジオはしんどい・・・
ちなみにサンクチュアリー本店は、先週辺りから いよいよバイクが入らなくなって
来ており、とうとう【過去最強のバイクカスタムブーム到来!?】を予感させられる
ここ数日をすごしており、ここで丸々1日費やしてしまうのは焦りに繋がるんですが
そんな焦りを払拭してくれるのが・・・
これです ( ̄▽ ̄)
やたら 時間が掛かる・・・
とにかく本気で選んでます
悩んでますなぁ・・・
なんでそんな真剣勝負! (# ゚Д゚)
お腹も一杯になった所で、第二ラウンド開始です!
RCMー499 KZ900のオーナーである、神奈川県在住の H・Mさんから
新たに2台目を製作したいと承りました このマシン・・・
ご紹介しましょう。
RCMー568 Z1-Rです。
RCM-499 KZ900同様、セパレートハンドルで低く身構えた車体フォルム。
Z1-Rのカフェレーサー感を強調しつつ、その実はモンスターと言うコンセプトで
製作されました。
Ⅰ型純正色で仕上げられたカラーリングは H・Mさんからのリクエストで、その他も
各部になるべく色を沢山使わない様に、あえて渋めの色使いを意識しています。
ホイールこそゴールドですが、こちらも金キラ系ではない マット感のある色合いで
その他はブラックで締めていると言う、いわゆる高級志向センス。
やたら色を使うと確かに個性的にはなるんですが 同時にチープ感も出てしまうので
難しいんですよね・・・
でもフェラーリやランボルギーニなど 高級志向車はハデなのに渋い色使いですから
RCMの場合はやはり そっちの路線で行きたいですね (^^)
このRCM-568で 最も力を注がれたのがエンジンです。
クランクシャフトこそフルリビルドしておりませんが、ハイコンプなビッグボアとし
シリンダーヘッドは吸排気ポートを拡大研磨して ST-Ⅱのハイカムシャフトを採用。
ハイカム化に伴い圧抜き穴を設けたタペットでインナーシム化して、吸排気バルブは
もちろん 5.5mmステム径の軽量 かつフロー効果の高いスペシャルビッグバルブに。
5.5mmステムのバルブに適した専用リテーナーは、これまたシムの単体重量も含め
動弁系パーツの合計重量をより軽量化できたもので、それによりバルブスプリングの
バネレートを理想値でセットできると言う、もうほぼ Zレーサー3号機エンジンの
ノウハウをストリート向きに仕様変更した お勧めのスペックで組み上げられました。
ハイスペックな現代的手法を取り入れ仕上げられたこのエンジンは、点火時期や
燃調の幅を求めるべく、また 完全燃焼の高効率も求めてツインプラグヘッドに。
エンジン始動させてスロットルを軽く開けてみたら、確かに「これは・・・」と
言うレスポンスの良さと力強さを感じたので(なるほど これは面白そうだ ♪)が
第一印象でした。
トルク&パワー共にはっきりその違いを体感できる面白いエンジンは、イコール
発熱問題も比例して伴うものなんですが、そこは当然トロコイドオイルポンプに
交換して オイルクーラーの放熱性能をしっかり生かし切るべく対策しています。
上がった出力を今度は速度に変えるため、6速クロスミッションは欠かせません。
17インチホイール化しているので タイヤ直径の絡みで加速よりのファイナルに
なっていますから、尚更6速クロス化は有効なんです。
6速クロスには、ドライブチェーンラインを21mm以上 最初からオフセットして
フラットなドライブスプロケットでチェーンラインを108mm以上に設定できる
6速クロスミッションEVOシステムを奢っています。
パワーを受け止めるシャシーは前後17インチワイドホイール仕様で、リアタイヤは
190サイズをチョイス。
ハイグリップラジアルタイヤに負けないメンバー剛性を求めて、スイングアームには
ブロックピース+7N01リブ角パイプのスタビライザーを追加溶接しました。
何気に、やる気を感じさせる絵面だなぁ・・・ なんて、思わされましたね (^ ^;)
ホイールには O・Zレーシングのマグネシウム、CATTIVAを用いています。
ここ最近はマグネシウムを敬遠する方達が増えた傾向なのですが、H・Mさんは
そこに拘りました。
確かに世界選手権 Moto-GPのマシンに沢山使用されてるO・Zホイールの大半は
マグネシウムですが、今やレアメタル系の軽合金ホイールは凄く高額になったので
簡単にお勧めできるシロモノではありません・・・ ( ̄▽ ̄;)
O・Zには世界屈指と呼ばれる巨大プレス機があって、ホイールを軽く、かつ強く
する為に必要不可欠な2万トン鍛造が出来るので、アルミでもマグネシウム並みに
軽くできますから、皆さんには基本 アルミを推奨しております。
アッパーカウルの固定は、このRCM-568もフレームマウント式としました。
ステムに普通にカウルを取り付けしてるZ1-Rと乗り比べできる機会があったら
たぶん そのあまりの違いに、超絶おどろきますよ (^^)v
アッパーカウルを装備してるスポーツバイクの多くが、ステムにカウルを付けて
いない理由が よ~く理解できます。
そのフレームマウント化されたアッパーカウルブラケットは、ジュラルミン材から
削り出しでワンオフされた逸品・・・
角度の振りや上下 また前後方向などに、位置をアジャストできる構造で、もちろん
ヘッドライトの光軸も調整できるステーを設けております。
フレームヘッドパイプ中央に カウルブラケットの取り付けボスが溶接されている為
RCMシリアルプレートもカウルブラケットに専用ホルダーを用いて固定しました。
そんなカウルステーに装備されたメーターは、RCM-568はSTACK製の3連式。
ベースのメーターパネルはオリジナルで切り出し ヘアーライン仕上げしてアルマイト。
被せたカーボンパネルもワンオフで、インジケーターランプはZXRの純正を流用した
見易さ重視のモニターになってます (^_-)-☆
このRCM-568も、結局1年以上と言う とんでもない時間が掛かってしまいました。
確かに専門の外注作業や部品の入荷遅れなど、ここ1~2年はものが揃わない現象が
続いていましたが、それでも1年以上かかってしまった時は基本、反省をしています。
最初から1年、あるいは2年と言った長期の製作コースをご希望されるオーナーさんで
あれば問題ないのですが、そうでない場合は やはり半年程で完成させるべきですよね。
とは言え、空冷Zがどんどん買えなくなって行った この数年間・・・
皆さんの駆け込み需要がハンパじゃなく、連休明けも未だに問い合わせやオーダーが
切れる事なく続いており、RCMの製作台数が凄い状況になっている事も製作時間に
大きな影響を与えているのは間違いありません。
基本はとっても嬉しい事で、大変ありがたい事。
でも、ご来店された方の大半が その凄まじい台数を見て引いてますわ・・・ (;^ ^A
RCM-568 Z1-R。
来週からロードテストを始める予定で、納車も間もなくと言う感じでしょう。
かなり力の入ったエンジンですから、燃調や点火時期の調整なども含め しっかり
仕上げてあげたいと思います。
H・Mさ~ん!
大変お待たせを致しました~っ!
次の3台目のマシン、RCM-598 Z-1も少しづつ進めておりますからねーっ!
今度はアップハンの、楽なの造りましょう~ (^^)/