サンクチュアリー本店の中村です。
久しぶりのイタリア出張編 (最終回)です
「日本に元気がなくなってしまった」と呟いた そのミラノ在住のパートナーは
昭和気質たっぷりの気性の強い人柄で・・・
良い意味でも悪い意味でも正直な性格で、波乱万丈の荒ぶった人生を送って来た
この人なりの、激しい時代の人生観がそう言わしめている。
「若い人たちは可哀そうだよね、これからの日本で夢は持てないだろうから」と
パートナーである氏は、決して嫌みな話し方でなく いつも寂しそうに語ります。
氏の人生は 40年もの長きに渡り日本の数多の輸出入業者達と歩んで来たもので
ファッション・家具・モーターサイクルや車など、幅広いジャンルを支えて来た
日本では知る人ぞ知る、日伊貿易にとってフィクサーの様な存在・・・
その氏の長い人生経験から、今後の日本の行く末に絶望感を抱いていたんです。
問題の根幹に人口減少&少子高齢化があるのは、もちろん当然の事でしょう。
同時に経済大国としての国力が低下し続けている・・ ・ それも早い速度で
自分も50歳代後半になり、そこが本当の意味で見える様になって来たからか
これが実に もどかしいんですわ・・・ (^_^;)
ここ10数年間で中国や韓国の人、インドの人や中東系の人が明らかに増えたと
感じるのは、錯覚ではなく事実だと思います。
別に日本人が、かつて盛況を誇った観光地から姿を消したからって、自分に何か
関係がある訳でも なんでもないスよ。
「アンニョハセヨー」とか「ニーハオ」とか、何度も言われましたけどね (;^ ^A
ただ衰退して行く、その衰えを止める術を持たない国家の一国民であると言う事。
そして、世界は本当は ”格差” で社会が構成されていると言う事を肌で感じた事。
実はこの ”格差”と言うものこそ、海外に出て行って始めて実感できた事でもあり
遠くない未来、趣を楽しめるのは一定の富裕層だけに絞られるのかも知れません。
だからこそ、世界的な観光地での人種交代劇は少し気になる。
う~ん・・・ 不安と言うより、 自分の場合は悔しさかなぁ~ ( ̄▽ ̄;)
俗に”バブル世代”と呼ばれる昭和生まれの自分に取って、これから日本が衰退して
行くのを見るのがなんだか悔しいんだと・・・
そう感じてる気がします。
日出る国、日本の・・・ 日はまた昇りますかね?
もし昇らないのであれば、グローバル産業を生業としている大手企業は別として
内需産業で生計を立てている小さな個人ショップや零細企業の多くは、近い将来
生き残り競争の泥沼化に陥るのかもな・・・ と思いました。
もう間もなく訪れるであろう、今までとは違った流れの時代を目前にして・・・
アメリカにはバイクのカスタマイズ文化がありますが、メッキやポリッシュの
シャシーなど 所謂ショーバイク的な路線が中心。
ヨーロッパのストイックなセンスは、全くないまでも多く見かける事はあらず。
ですが、そのヨーロッパにはバイクカスタム文化そのものが無いに等しい・・・
実はヨーロッパにはアフターマーケット(ストリート市場)が殆ど無いんです。
自分もそれを知ったのは10数年前の事で 日本では意外に知られておりません。
ヨーロッパの、アメリカとは違う方向のセンスはレースから派生していた文化で
軽合金ホイールもブレーキパーツもサスペンションも日本みたくカスタムされた
バイクを街中で見かける事は、まず皆無・・・
全てはレーシング市場中心でビジネスが成り立っており、その事を日本では認識
されておらず「え~ そうなの!」と言う声も聞きました。
日本は本当に特殊ですね・・・ つくづくそう思いますよ。
サンクチュアリーのRCM製作やエンジンオーバーホール等の業務を始めとし
母体となるノーブレストでの製品出荷数も年々増すばかりの一方で、ここ最近の
多忙極めるバイクカスタムブームに入った原因が何なのかはわからず・・・
ディンクスにも、多数の四輪&二輪業者さんから内燃機関加工依頼が入っており
これまた仕事が溢れ気味ですから、オーバーワークが気になり出しています。
サンクチュアリーと、ノーブレストと、ディンクス
この3つのセクションは 互いに密接な関係性を保って成り立っているんですが
久しぶりにミラノに来て議論となった ”後継者問題” は 想定外でして・・・
まだ暫くは他人事として見ているものの、後継者を考えねばならない年齢に入り
(確かに真剣に人選してるかも)と、自分で自覚したのは つい最近の事でした。
託せる者とは果たしてどんな人間なのか・・・
求心力? 判断力? 忍耐力? リーダーとしてのビジョンを持っている事?
う~~~ん
会社の全体を見渡して見えているかは、もちろん必須条件なんですが・・・
もっとも必要とされるのは難関を突破して来れる ”前進力” なのかなと・・・
どれほどに苦しく険しい状況であろうとも、前へと進められる力 ”前進力”
何だかんだ言っても、これさえ持っていれば強いと感じます。
後継者の話題に関しては、まぁ~ まだ少し時間が必要なんでしょうね (;^ω^)
それよりも今
現在、自分がすべき事はと自らに問うたなら
少なくともバイクのアフターマーケット業界の繁栄と継続に尽力を注ぎたい。
日本得意のお家芸でもある 姿・形だけコピーをし、それなりに上手く出来ている
類のものではない・・・
メジャーなステージで通用している本物を、真に優れた逸品を紹介して行くのみ。
Moto-GPで採用されているのは何故なのか、その性能と役割を伝えたい。
世界最高峰の本物でRCMを組み立てたいと言う、そんな意識が心躍らせます。
もちろん 空冷Zで筑波57秒台ラップを実現させるための重要なパーツ選択でも
あり、世界選手権で採用されてる性能と価値を必要とする裏付けでもあるんです。
自社の更なる発展を願うのは、それは当然の如きにあり。
ですが、加えてより良い優れた製品とは何かを多くの人達に知って貰いたい事
少しでも長く、業界の繁栄と継続に尽力できる事など
今までとは違ったテーマに向かって、まだまだ隠居計画なんて当分できないなと
痛切に感じました。
翌日・・・
ミラノへ戻り、本日が事実上 最後の仕事日となります。
夕方からですが、今回訪問した各社との打ち合わせ内容を現地パートナーと一緒に
改めて見直し、帰国してから何をどう進めて行くべきかを整理しました。
その勢いのまま夜も、OZMBのリーダー ジュリオアルゼンツィアーノと会食。
ジュリオの友人で別の技術者同伴の上、これまた面白い話を一杯聞かされました。
自撮りもすっかり上手くなりました。
久しぶりのイタリア出張は4年ぶりと言う事もあってか、なかなかに刺激的な
訪問になったと思います。
もはや手遅れ・・・ 既に遅し、 などと言う気持ちで取り組んではおりません。
残された、与えられた時間を前進力を持って全力で駆け抜けるだけ。
明日からの帰路にまた24時間以上を費やしますから避けて通りたい心境ですが
早く日本に戻って色々な続きを始めたいですね~
とは言え、本音を言えば疲れました・・・
帰国した翌日は絶対! 近所の蕎麦屋に行きますぜ! (# ゚Д゚)/チェストー‼
久しぶりのイタリア出張 (終わり)
= お知らせ =
私中村は6月7日の夜に日本へ帰国します。
帰国した翌日は第二木曜日で会社全体の休業日となりますから、6月9日より
通常出勤となります。
不在中はご不便お掛け致しましたが、ご理解の程 何卒よろしくお願い致します。