こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
一年コースの長期製作にて、全身全霊を注ぎ込まれている1台。
神奈川県在住 K・K さんの入魂! RCM-519 Z‐1(その2)です!
少しづつですが車体が進む中 エンジンも同時進行すべくスタート・・・
このRCM-519はエンジンにも相当力を注いでおり、月並みな仕様では
ありません。
まずはクランクシャフトを全分解し コンロッドのバランシングから着手。
左上にある2つのパーツは先日もご紹介した バランシング専用の治具。
RCMの最高峰に位置する Zレーサー3号機に施した仕様を踏襲致します。
エンジンの心臓部とも言えるクランクシャフトには 当然の事ながら高い負荷が
掛かっており、高度なチューニングを施したエンジンであるなら クランクへの
対策は必要不可欠。
Zのクランクは生産当時から40年以上もの長い年月が経過しており とにかく
パワーがどうのと言うなら高精度なリビルドも抱き合わせにするべきなんです。
筑波サーキットを58秒台でラップする・・・
当初からその目標を掲げていたZレーサー3号機は とにかくエンジンの能書き
なんかじゃなく、限界走行の中で本当の結果を出さねばなりませんでしたから
新品ベアリングに交換するリビルドだけでは不足と判断していました。
そこで最も負担の掛かるコンロッドを強度アップだけでなくバランシングまで
行って 鏡面加工と表面処理まで施したんですが、このRCM-519でも同じ
メニューを施すべく 4つのコンロッド重量を合わせる粗削りから入りました。
粗削りが終わった所で、今度は社内にあるバフ研磨部門へ・・・
ここからは鏡面仕上げにしますから、研磨一筋 その道35年の専門職人である
菊地に任せるのが一番 (^^)/
最初は中削りから入ってますが 既に鏡面手前の感じになって来てますね。
菊地いわく「コンロッドは硬ったいんだよね~!」 との事・・・ (^ ^;)
続いてはバッファーを用いて、細目コンパウンドで鏡面仕上げに入ります。
皆さんご存知な事でしょうけど、金属はツルッとした表面にしてあげる事で
表層強度が上がるもの・・・
その部品に大きな力が掛かった時、例えば傷など 荒れた部分がクラック等の
きっかけになり易く、故に磨き込んで限りなくフラットな表面にしてやる事で
裂けようとするきっかけが無くなり 強度が上がると言う訳なんです。
菊地の鏡面仕上げは完了しましたが、ここで再び工場に・・・
最初の粗削り時にコンマ単位で重量を揃えたコンロッドですが、鏡面仕上げに
より またコンマ台でのバラつきが出てますので、もう一度重量を合わせます。
前にも書きましたが、コンロッドの重量合わせと言うものは単体の総重量を
合わせるのはもちろん当然の事として、更に小端部と大端部 それぞれの部位
重量まで合わせて初めて効果が得られるもの・・・
多気筒クランクシャフトが高速で回っている時 この部位重量が揃っているか
いないかで 回転ムラの発生が大きく違って来ます。
実を言うと ここまで追求する様になったのは、ここ2~3年の事でして・・・
それでも今のサンクチュアリー本店では「ここまでやるのが普通」と言う
認識になりました。
ちなみに小端部と大端部に取り付けられてる測定用治具は、ネジの高さを
調節する事によって平行をキープできるもの・・・
平行を保たねば 小端部荷重と大端部荷重の誤差により正確に測れませんし
4つとも全て同じ平行条件にして測定しなければ意味がないんです。
また、アルミの治具本体やネジの重量まで一緒に測定されていますが
目的はコンロッド単体の重量を調べている訳ではなく、あくまでも4つの
コンロッド重量を揃える事ですので全く関係ありません。
この段階での測定は ほんの微小な数値となる為、肉を落とすのに今までの
様な ”削り”ではなく ”磨き”で落として行きます・・・
小端部&大端部ともに 磨いては測定しを何度も繰り返して行くんですが
測定中に隣で誰かがエアーツ-ルを使うと その僅かな風が加工室に流れた
だけで計量器にコンマ台の表示振れが出ますから、とにかくシビア。
結局ほぼ丸一日掛けて、コンロッドウェイトバランスがコンプリート。
でも、ここからすぐクランクの組み立てに入る訳ではありません。
この後コンロッドはWPC処理を施され ようやくクランクの組み立て
工程へと移行します。
Zレーサー3号機の時もそうでしたが、一本のクランクを完成させるに
何と長い道のりな事か・・・ (;^ ^Aフ~
K・Kさ~ん!
このRCM-519は、トップランキング ベスト10入り・・・
間違いないと思いますよ~っ!!!