こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
今年の春に新規オーダーを頂いたRCMは まだまだありまして、順を追って
ご紹介させて頂いております。
「なかなか出て来ないな~」 なんて、思われてる方もいるかと思いますが
中村の心が折れない限り頑張りますんで、もーちょい お待ちを・・・ (^ ^;)
空冷Z系車両に限らず、70年~80年代にかけて生産された いわゆる旧車が
数の減少により価格高騰しているのは間違いありません。
ベース車両の値段が軒並み上がった事もあって 前々から欲しかったバイクを
ついに断念されたなんて方も稀におりますが、以前からマシンを所有されてた
方が車両お持ち込みにてRCM化されると言うケースも増えておりまして。
今回からご紹介するZ1‐Rも、そんなオーナーさんが所有されていた車両を
お預かりさせて頂き RCM化するというもの・・・
神奈川県在住 K・Hさんの、RCM-523 Z1‐R(その1)です!
元々はK・Hさんのお兄さんが所有されていたと言う Z1‐R・・・
K・Hさんのご都合に合わせた日時で車両を引上げに伺い、戻ってから各部を
チェック致しました。
エンジン始動を試みると一発で火が入る状態ですが あきらかに調子を崩して
いる感じで、キャブや点火系も含めてしっかり手を入れた方が良い状態でした。
車体はカスタムされてる部分もあり パーツなど再使用が出来ないか検証したん
ですが、たぶん前オーナーだったお兄さん時代のカスタムだったんでしょうね。
長い時間が経っていたせいかどのパーツも痛みが目立ち、ほぼ全て交換すべきと
言う判断に至っております。
メールで事前にお見積もりはしておりますが いかんせん現車を確認して
見積りした訳ではありませんから、実際に車両各部を深く見て行った時に
これもダメ・・・ あれもダメ・・・ なんて事は、ありがちな事。
でも最終的にお見積もりした額から随分かけ離れた金額になったりする事が
ない様 それだけは避けねばなりませんから、最初のお見積もりをなるべく
手堅い内容で立てるんですけど、それを現車を見ていない状況でやるのが
なかなか難かしい事でして・・・
見てないから無難な内容の見積もりにしがちで、つい高額になる (;^ ^A
最初と最後でいつのまにか金額が違っており、その間 オーナーさんに全く
報告や相談がなかったなんて話をたまに耳にしますが、そういうのだけは
断じて避けねばと 昔から気を付けて来たんです。
でも、現実は甘くありません。
フレームに補強が入っていたんですが、あまり良い補強じゃないかな・・・
いや! あまりじゃなくて 良くない補強でした! ( ̄▽ ̄;)
タンクをはぐった瞬間「ありゃー!」なんて事も これまたよくある事でして
そういう時はもうすぐに連絡し「ここと ここが」なんて説明をするんですが
どうしてもお金も絡む話だし、正直 なかなか心苦しいものなんです。
ちなみにフレーム補強は材料の板が厚く、左右の均一感が 一目でみて対照に
なっていないもの・・・
この感じだと恐らく材質も配慮してなさそうだし、しかも重要な部分に補強が
入ってなかった事からも 補強材を造るのが大変な部分はやらずに簡単な所だけ
補強したと言う、昔よくあったパターン(20年も昔の事ですが)だと診断。
となれば、旧い補強材を切除して新たに正確で正しい補強をし直すと言うのが
理想ですから、このあと早速 K・Hさんに連絡したんですけど・・・
まだタンク外しただけです・・・ (;^ ^A
細部をよく確認しながら どんどん車体を分解して行くんですが、今のところ
問題のある状態は確認されず、ちょっと一安心 ♪
ご希望される方だけですが、取り外して不要になったパーツは下取りをさせて
頂いたりもしてます。
ようやく本来のRCM製作工程へと進みました・・・
まずは先ほどの左右4か所、旧い補強を切除するところから始まりです。
ここの補強材、板の厚みが2.5㎜ありました・・・
Zに限らずオートバイのフレームパイプ肉厚と言うのは ほとんどの場合で
1.6mm~2mm厚のパイプが使われています。
そこに2.5㎜もの肉厚材を溶接すると 可能性の一つとして溶接した周辺に
クラックが入りやすい・・・
補強材が肉厚だとフレームのパイプ側より強度が高くなり、振動や外部から
力が入った時に 溶接で熱処理を受けている部分の肉薄側にしわ寄せが来て
クラックが発生してしまうんです。
故にサンクチュアリーでは 基本 フレーム補強材には1.6mm~2mm厚の
材料だけを使用する・・・
材質も溶接の熱影響を受けにくいSTKM13Cパイプ、もしくはSS400
プレートと言ったマテリアルを使用しています。
フレームを強化しようとしているのに 補強部にクラックが入ってしまっては
何の意味もないですからね (-ω-)/
早速フレーム補強に入ろうと、おなじみ フロントエンジンマウント治具を
取り付けたんですが、ここである違和感に気が付きました・・・
エンジンマウントボルトがすんなり入らなければならない部分なんですけど
あきらかにズレています・・・
頭をよぎったのは (あぁ、 またK・Hさんに連絡しなきゃならん) と言う
言葉・・・ ( ;∀;)
この左右エンジンマウントの相違は たまに見かける事があるもので、既に
エンジンを下ろす際にも違和感があった様です。
このまま進めてしまうとエンジン搭載時にボルトの入りがやたら渋くなると
言う状況に繋がりますから直しておくべきでしょう・・・
またこの症状があると言う事は過去に転倒している経緯も予想されますので
ヘッドパイプやシートレールと言った重要部位の測定を行い、必要であれば
ストレッチをしておくべきなんだと思います。
K・Hさ~ん!
最近何度もご連絡しちゃいまして、本当に申し訳ありませんです <(_ _)>
フレームは修正工程へと行っちゃいましたので、次回よりエンジン編にて
再スタートしますね~!!