こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
およそ400番も前のシリアルだと、例え今と同じメニューであっても僅かに
仕様が異なるもの・・・
それは作意した訳でも 失敗した訳でもなく、その当時の考え方や捉え方の中で
ベストを求めたものが 今のベストと異なっているだけ・・・
当時と同じメニューを施工しても 今の方がわずかに優れるのは、やむを得ない
時の流れによるものと言えるでしょう。
静岡県在住 M・Aさんの RCMー101 Z‐1 復活に向けて(その1)です!
フレームはやり直しが効くとは言え、やり直す為には またエンジンを下ろして
足回りから電装まで一通り全分解をし再作業となるから そこに伴う労力と時間
そして予算は決してバカにならないもの・・・
だから後々に課題を残す事なく、一発で完璧に良いものに仕上げてあげる方が
結果的には近道で安いと言う そんな要因を持ち合わせています。
このRCM-101のフレームは 今回転倒による修正を余儀なくされたもので
やむなく必然的に各部やり直しが発生したもの・・・
いずれにしてもせっかくの機会ですから 最新の仕様にて加工し直してあげます。
Z‐1で最も重要となる補強が 画面右のヘッドパイプ下に入っているパイプ。
俗にいうアゴ下補強で、サンクチュアリーではSTKM13Cシームレス材に
拘り 更にこの補強パイプはエンジンマウント近くまでリーチを延ばして溶接。
見ての通りエンジンマウント近くまで溶接されているのが特徴で、とにかく
重要なところ・・・
この10年ほどで構造的な進化を果たした補強でもあり、Z‐1のフレームを
補強するにあたって最も効果ある所でもある事から 決して軽視してはならない
まさにセオリーの様な補強なんです (^^)v
曲げもの専用の治具を 油圧プレスのロッドに固定して材料を製作中・・・
これはドライブチェーンを23mmオフセットさせる事で フレームの内側に
チェーンが干渉してしまうのを防ぐ インライン処理の部材製作をしています。
刃物の様なオス型治具と角度が切ってあるメス型治具の間に SS400
2mm厚プレートを挟んでプレスで押せば、狙った形に曲げ込めるもので
この手の板金治具はフレーム加工を行う上で 欠かす事が出来ないツール。
材料の形や精度は そのままフレームの仕上がりに直結しますから、これも
また拘るべき治具と言えます。
こうやって材料を製作し、なるべく隙間な 材料をはめ込んで行きます。
ちなみに左のステップを固定するスタッドボルトのナット部分は 数ミリ
ではありますが残してあり、スタッドは2本共きちんと植え込み出来ます。
ここのナットが完全になくなってしまう所まで削る必要はありません。
530ドライブチェーンを使用しても僅かですがクリアランスは保てます。
このインライン処理も加工者によって若干の違いがあるんでしょうが
スタッドのナット部は 少なくとも4mmほど残しても問題ありませんから
きちんと植え込める様にしておくのが良いと思います。
ピボット部にスリーブ状の治具をはめ込んだまま 先ほどのアングル材を溶接。
全て溶接したら右側と同じ バーリングホール加工を施したガセットプレートの
モナカ合わせ補強を追加し、補強は全て完了・・・
これにて終了~! と、思ったんですが・・・
一つだけ問題が発生。
目を凝らせて見ると左右ダウンチューブの内側ラインが ほんのわずかに
波打っている事に気が付きました・・・
フレーム修正のストレッチで ヘッドパイプの位置や角度 パイプの軌道は
きちんと直せていますが、パイプそのものに残ったわずかな変形だけは
完全に消す事が出来ず、急遽ここも直す事に・・・
全く同じ外径・肉厚のSTKM13Cパイプを用いて、外科的手術の要領で
波打っている部分を切開し、移植・・・
今回はたまたま波打ってた部分が完全にストレートパイプの部分であった為
上手く直せましたが、これがもう少し下の曲がってる部分まで変形してたら
さすがにきちんと直す事が出来なかったので、本当に良かったです (^^;
このあと今の移植部 溶接ビードをきれいに慣らして フレーム加工終了!
既に先日、粉黛塗装工程へと送られております。
M・Aさ~ん!
5月中旬位になると思いますが フレームが戻って来たら車体立ち上げの
段取りに入りますので、最初の色指定 お待ちしておりますね~! (^^)/