こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
500台を超えるシリアルナンバーとなったサンクチュアリーのRCM。
この20年でここまで造れたのは 本当にありがたい事と感謝しています。
半面500台以上も製作して来たので 諸事情から車両を手離される方も
一部おられて、最近では時折 オークションなどで見かける事も・・・
でも製作後 何年か経過したマシンは、例え走行距離がそれ程でなくても
エンジンやキャブの調子を崩してたり 足回りのメンテが必要だったりと
本来なら入庫して整備すべき状態になってる車両が多いはず。
福岡県在住 H・KさんのRCM-144 Z‐1は 前オーナー様が手離され
再販売されたRCMで、この車両に関しては私達サンクチュアリーの元で
再販売できた事から 現在納車前の整備を徹底して行っている最中。
もちろんH・Kさんからのリクエストで 同時にリメイクも入ってますが
一緒に作業する方が効率が良く 仕上がりも良くなりますから、一石二鳥で
それも良し (^^)v
RCM-144 Z‐1 作業進行中(その2)です!
本当は納車整備で さすがにここまでは行わないんですが、製作されてから
1万km以上 走行した車両の場合、その製作時期や状態を見て エンジンを
全分解する場合があります・・・
消耗してるパーツを交換するのが目的なんですが、今現在の規格パーツに
交換したりとその内容は沢山あって、そしてもちろん ほぼオーバーホールと
言ってもいい この作業に関しては、料金を頂いておりません。
あくまでも納車整備の一環としてですから 無料で行うものなんです。
せっかくエンジン全分解したんですから ミッションも細かくチェック・・・
ベアリングやワッシャー スナップリングなど、新品で交換できるパーツは
もちろん消耗品として交換します。
更にギア本体にも消耗が見つかった場合 これも当然交換対象となるんですが
新品が入手できないですから、在庫している大量のミッション部品の中から
状態良い物をピックアップして交換をしてあげます。
この辺は新規でRCMを製作する時と全く同じ作業を行ってる感じですね。
インプットシャフトはクラッチハウジングを組んでセンターナットを締め込み
アウトプットシャフトは測定用オフセットスプロケを用いてセンターナットを
締め込みます。
どちらのシャフトも実際に側面部品を固定した状態にしてシックネスゲージを
差し込むんですが、側面部品のナットを締め込む事でシャフトがベアリング側に
引っ張られ 本来あるべきセット位置になりますから、この状態を作って測定を
しないと意味がないんです。
測定してサイドクリアランスがきつかったり 広かったりしたら、もちろん
工業用の精密寸法ワッシャーを用いて 0.1mm単位でシム調整します。
ベアリングの外側&内側、あるいはスナップリングに隣接するワッシャーへ
追加するなど、精密シムにより適正なクリアランス値へと調整するんですが
この作業を行うのと行わないのとでミッションのシフトフィーリングは格段に
違って来ますから、サンクチュアリー本店では必ず施工するメニューの一つ。
最初の製作時オーバーホールから1万km以上走行してると、わずかな数値では
あっても調整が必要になっている場合も多く、今回の様に納車整備であったと
しても行っておくべきでしょう。
クランクシャフトも位相と芯ずれを点検・・・
製作時に行っている芯出し修正から それほど大きくズレていませんでしたが
それでもコンマ0.01単位にて再度芯出しを施工しています。
クラッチハウジングのセンターメタルにガタつきはなく、バケットとスリーブに
残ったクラッチの爪痕も少ない事から ハウジングアッセンブリでの交換はなし。
フリクションプレートとクラッチディスクのみ、純正にて新品に交換しました。
サンクチュアリーメカブランド製 クロモリシリンダースタッドも新品に交換。
上下ケースを合わせて組み上げ、このあとスターターワンウェイクラッチも
新品に交換してマグネットローターも組み付けます。
今回のエンジン分解に合わせて H・Kさんからリクエストされたメニューが
このPAMS製オーバーサイズESTライナーに変更した上でのピストン変更。
ピストンを新品に交換してシリンダーボーリングを行う所までは この車両に限り
消耗品交換として扱っており、ホームページのクラフト販売欄には整備項目と
して無料で行いますと告知済みでしたが、ブロック穴拡大とライナー入れ替えに
関しては H・Kさんに追金をご負担して頂いて施工しました。
現在はシリンダーヘッドもバルブシートカットを行っているのですが、まだ
上がっていない為、シリンダーまで組み上がった所で 一先ずエンジンは終了。
車体に戻って、上下ステムベアリングを交換するべくレースを打ち替え・・・
案の定 レース側にうっすら段減りがあったので、交換しておいて正解でした。
新品に交換したテーパーローラーベアリングも、ベアリング内に充填させる
グリスのエア抜きを行い 上下共にリフレッシュ。
ベアリングそのものが消耗著しくて 交換が必要だった訳ではありませんが
この先距離を重ねて行くと 間違いなく早い段階で要交換の時期が来ますから
今ここで交換しておくのは良策だと思います。
オーバーホールが完了したOHLINS製 正立フォークも組み付けましょう。
今回はオーバーホールと同時に スプリングを0.85N/ⅿから 0.90N/ⅿへ
1ランクハードレートなものに交換しています。
ここもH・Kさんからのリクエストで追作業したのですが、オーバーホールと
スプリング交換のみ実費ご負担頂いて フォーク脱着工賃は頂いておりません。
よって、元々入っていた0.85N/ⅿのスプリングは納車時にお返ししますが
工賃に関しては新たにオーナーとなられる方と都度ご相談して決めています。
ちなみに再販売のRCM全てが 必ずしもここまで整備すると言う訳ではなく
旧いシリアルナンバー車、もしくは走行距離が進んでいる個体のみ対象です。
あくまでも必要だと思われる場合にのみであって・・・
さすがに全車 やみくもにやるなんて意味ないし、そもそも無理な事・・・
ハンセンがアンドレをボディスラムしちゃう位、大変な事ですよ (;^ ^A
H・Kさ~ん!
連休明け 完成しますんで、またご連絡しますね~!!!