KZ1300やCBX1000の様に、巨大と呼べるその車格が好きだと言う
気持ちは私も何となく わかる気がする・・・
6気筒の広いエンジン幅とそのエキゾーストサウンドは ダイナミックであり
むしろ大きな車体こそ正しく6発と言う個性で、良い意味で非常に独特である。
でも、空冷4発Zの場合・・・
ことZにおいては 大きな車体が魅力と言うわけでもない。
むしろ ほんの少しだけでもいいから、コンパクトなシャシーが欲しい・・・
なぜなら空冷Zは あくまでもスポーツモデルであり、スポーツライディングを
存分に楽しめる俊敏・俊足なマシンであって欲しいからだ。
速い速度域からフルブレーキングしても安定した制動性能で減速が出来る事。
軽快に車体をバンクさせクイックにコーナーを旋回し、自由度のあるラインを
トレースして立ち上がれる事。
昔も今も・・・
空冷Zに求めているのは、正にそんな車体である・・・
最強のシャシーを得て空冷Zの常識領域を超えた 世界にわずか30台のマシン。
S・I さんの RCM USA A16R‐005(その10)です!
オートバイを丸々1台造る・・・
そんな表現が決して誇大ではないA16だから、とにかく造り物が終わらない。
深海魚? (;^_^A
いえいえ・・・ これはリアフェンダーを構成する部品の一つで、こういった
パーツを次から次へとワンオフしています。
バックスキンとレザーをストレッチラインを境に2ピースで分けたシートが
完成して来ました!
手触りの感触を確認したのか、早速さわった跡がついてました・・・ (^^;)
次々と出来上がる個性的な車体のワンオフパーツ達。
どんどん出来上がってるので簡単そうに見えるかも知れませんが、全てキャド
図面から始め 溶接やら研磨やらと施してようやく出来上がるもの・・・
しかもこの後アルマイト処理など外注工程が絡んで また時間が掛かりますから
実はどれも長い長い道のりを経ているんです。
いずれにしてもこういう特別な一品物を造るのは、RCM製作において欠かす
事の出来ないテクニックで、本領発揮する技量の見せどころでもあります。
テールカウル&左右サイドカバー部もカーボンプレートでワンオフ・・・
サイドカバーはクイックファスナーで容易に脱着できる構造にしてます (^^)v
もうさすがにエンジン搭載しないと各装備が取り付け出来ませんから、ここで
一気にエンジンをフィニッシュに・・・
タイミングホイールを用いてバルブタイミングを合わせれば エンジン完成です!
今回はS・Iさんからのリクエストで、角シリンダーヘッドへ交換をしました。
本来は丸ヘッドなんですが、マシンのフォルムに合わせて 角ヘッドへの変更を
オプションで行っているんです。
元々のエンジンを一度分解し 各部バランス取りや最新ガスケットに変更するなど
組み直しする事で完成した 空冷Zのエンジン・・・
これよりフレームに搭載します。
右ダウンチューブを外された状態で エンジンを向かい入れるフレーム・・・
フレームがコンパクトになっていて エンジンは空冷Zの大きさのままとなると
イコール、エンジンの脱着は容易ではないと言う事に繋がります。
そこで脱着式ダウンチューブ構造を採用しているのですが、実はまだそれでも
ギリギリなので、後部右下エンジンマウントも脱着式にて設計しています。
後部右下のエンジンマウントステーが フレームに直接溶接されていないので
エンジンを台車で横スライドさせて そのままフレームに入れる事が可能・・・
整備性を考慮する事から シャシーの性能を犠牲にしたくなかったんですけど
この設計にした事で整備と性能、どちらも犠牲にする事ない車体になりました。
エンジンの脱着が簡単で 実にありがたいんですわ (^^♪
これがその後部右下のエンジンマウント・・・
本来であればフレーム側にプレートが溶接されているんですけど、ジュラルミン
削り出しのブラケットを下から2本のM8ボルトで固定する構造にして、更に
横方向に若干調整できる様にした事で クランクケースとエンジンマウントとの
面密着性も良くなっている・・・
だから左エンジンマウント基準にボルトを締め付けた後、エンジンマウントに
ストレスをかける事なくピッタリ真っ直ぐに 精巧な搭載を可能にしました。
このリア上部エンジンマウントも だいぶ前からZ系でやりたかった構造で
オフセットしてクランクケースにダイレクト固定される A16専用の逸品。
ノーマルフレームベースのZレーサー1号機で 筑波TOTを何年にも渡り
エントリーして来ましたが、0秒台から59秒台へとタイムが上がるに連れ
フレームに出た問題はたった2つ・・・
一つがステムヘッドパイプのロアーベアリング圧入部変形で、ベアリングの
レース圧入穴が前後方向に緩くなってしまうと言うもの・・・
そしてもう一つが フロント左エンジンマウントのクラックでした・・・
フロント左エンジンマウントにクラックが入るのとリアのエンジンマウントとが
何ゆえ関係するのか・・・
実は急激な加速・減速によるドライブ側の入力からエンジンが前後方向に動いて
フロント左エンジンマウントがフレームに直接溶接されてるリジッドである事から
力の逃げ場がなく、そのしわ寄せでクラックが入っていたんです。
で あれば、リアエンジンマウントを改良する事でフロントへの負担を軽減できる。
エンジンハンガーにカラーを介さず、クランクケース幅とほぼ同寸の短いボルトで
固定してやれば ボルトは殆どしなる事なくエンジンは動きません・・・
これこそがフレームを進化させた A16専用の対策エンジンマウントなんです。
そしてマフラーもA16専用品・・・
2次空気導入できるナイトロレーシング製 ウェルドクラフト3DチタンEXです。
燃焼した排気ガスがまだ高温な状態にある所で 酸素を加えてやると、2次爆発を
誘発し それにより排気ガスに含まれた成分が再燃焼すると言う構造。
ただでさえ武骨で立体的なウェルドクラフトEXに 4本のバイパスラインが
接続されますから かなり迫力あるビューになりますね。
そして最後に真打、 PAMS製オリジナルのフューエルインジェクション
総削り出しスロットルボディを取り付けました!
RCM USA A16R‐005。
この後もまだ細かい加工や作業がありますが、ブログが追い付かず ( ̄▽ ̄;)
次回最終回、完成したマシンをお見せしたいと思います。