こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
本日ご紹介するRCMは、福岡店で完成し、福岡で撮影された車両です。
なので福岡店ブログでお見せしようと思ったのですが、担当メカの梅田が
日々の作業や来店者対応に追われ、それこそ”分単位”で時間と戦っており
また、本店時代から製作をし始め福岡店で完成させたと言う経緯もあって
自分中村が本店ブログにてご紹介させて頂く事にしました。
それではご紹介しましょう。
広島県在住のT・Mさんからオーダーを頂きました、このマシン。
RCM-631 Z1-Rです。
上の画像もですが、ステアリングを切っているにも関わらず アッパーカウルが
真正面を向いていますよね。
そうです。
このRCM-631は、バーハンドル仕様でのアッパーカウルフレームマウント
Z1-Rなんです。
Z1-R最大の弱点である ”ママチャリかご満載ハンドリング” は 加速時など
フロント回りが振られる原因であり、また 低速走行時でも粘っこいと言うか
どっこいしょ~なハンドリングでもある事は もう皆さんご承知ですよね。
アッパーカウルをフレームマウント化したZ1-Rに乗ってみると その違いは
すぐ気づくほどで、劇的にハンドリングは軽快になります。
ただ、カウルが前に出すぎてしまうとブサイクになるので、こっちで1mm
あっちで2mmと やたらと大変なんですが、とにかく繰り返し何度も細かく
位置設定して見た目と機能を両立させてるんです。
どうです?
ほぼ違和感ありませんよね。
カウル左右ナックル逃げ部のノーマルディテールを極力変えないよう削るのが
もの凄く大事でして、そこ 皆さんにわかって貰えると嬉しい部分です (^^ゞ
メーターの軽量化も ”ママチャリかご満載ハンドリング” の対策に役立ちます。
カーボンプレートをワンオフで切り出して、スタックのメーターを3連式で
オリジナルに配列させました。
ハンドルをスーパーローバーにする事でアッパーカウルの位置を低めに設定
しておりますが、先程のカウルナックル逃げ部とレバーとのクリアランスを
有利にする為、下側ハンドルポストも少し手前に来るものへとワンオフする
など・・・ とまぁ、細かい施工だらけなんです (;^ ^A
エンジンにも相当 力が注力されました。
腰下から、DiNx鍛造コンロッドにコンバートしたクランクフルリビルドは
オリジナルの専用治具と専用設備を用いて仕上げたもので、気筒位相の精度に
自信アリの その完成度はバツグンにスムーズな仕上がり。
New6速クロスミッションはリアタイヤ180以上の幅に適合したチェ-ン
ラインに設定されているロングアウトプットシャフト仕様のEVOシステムで
更にSTM製スリッパークラッチを組み合わせています。
油温上昇対策の切り札トロコイドオイルポンプも、もちろん忘れてませんよ!
腰上は、シリンダースリーブ入れ替え後にDiNx鍛造ピストンKITを用い
H85Aによる電子制御ホーニングでピストンクリアランス精度をキッチリと
追った仕上がりにしました。
ビッグバルブ化に伴いオーバーサイズバルブガイドへの変更やシートカット等
内燃機加工は全てディンクスによるもので、その完成精度は見事な仕上がり。
ST-2のハイカム、インナーシム化、適切なレートのバルブスプリングなど
燃焼系メニューもバランス良いマッチングで組み上げています。
このエンジンは、空冷Zならではの趣深いスペックと言えるでしょう (^_-)-☆
シートは量産品廃番となった、ナイトロレーシングRCMコンセプトシート。
幅が狭いうえに、サイドカバー上の細いレールをキャンセルした面積分だけ
シート座面が低くなっており、足つき性とルックスに優れた拘りの逸品。
現在は毎回手作業で作っているため効率が悪く 一般販売はしておりませんが
RCM Z1-Rにだけは何とか提供しているシートなんです。
マフラーは、ナイトロレーシング製ウェルドクラフト3Dチタンエキゾースト。
100ピースからなる輪切りパーツをウェルド(溶接)で繋いでいるんですが
皆さん「見た目がカッコいいから!」と言って頂けるのは嬉しいんですけど
実はきちんとした理由があるんです。
排気ポートから出たエキパイが最初に曲がって、一端エンジン側に入り込み
そこからまた外へ戻って曲がりコレクターに集合してますよね。
これ、実はオリジナルフレーム Zレーサー2号機&3号機の為に設計された
エキパイで、要するにステアリングヘッドが近くなった分フロントフォークが
フルストロークした際にタイヤとエキパイに安全なクリアランスが必要だった
からで、この様な曲がり方になったんですが。
手曲げや機械曲げでこの複雑な曲げを実現するのは容易ではなく、それゆえに
ピースリングを繋いで造るウェルドクラフトに至りました。
なので 必要な機能に応じて生まれた構造であり、何もカッコ良いから造った
マフラーとかではないんです (;^_^A
足回りはRCMの王道とも言える、前後輪17インチホイールのシャシー。
油圧クラッチ周辺の画像をよく見て頂くとわかりますが、New6速クロス
ミッションEVOシステムの為 フラットなフロントスプロケットでドライブ
チェーンラインがワイドな108mmに設定されていますね。
そんな足回は、いつも語っておりますが一流メーカー品だけによる構成で、
O・Zレーシングホイール、OHLINSサス、Bremboブレーキと
世界でも超一級品と呼ばれるメーカー製品だけで組み上げました。
Moto-GPやワールドスーパーバイク選手権に採用されてるメーカーの
パーツと言うのは、名ばかりではなく性能と信頼が在るものなんです。
このRCM-631 Z1-Rは、当初は今年の3月完成を目指して進めて
いたんですが、途中サンクチュアリー福岡店のオープンが重なったりと
時間を取られ、大きく遅れての完成となりました。
T・Mさんには この場をお借りしまして、ここまで長く時間が掛かって
しまった事を深くお詫び致します。
時間は掛かりましたが、マシンの完成クォリティはご納得頂ける仕上がりに。
T・Mさん!
RCM-631 Z1-R
お待たせしましたが、完成です!
まだ納車に向けてのロードテストなど他の工程は残ってまして 今の福岡店の
多忙さを考えますと とんとん拍子には終わらないかも知れませんが、店長の
梅田は心折れる事なく励んでますので、もう少しだけお待ち下さい <(_ _)>
= お知らせ =
誠に勝手ながら以下の日程にて夏季休暇を頂きます。
【サンクチュアリー本店】 8月11日(日曜)~14日(水曜)
【サンクチュアリー福岡店】 8月10日(土曜)~15日(木曜)
皆さんにはご不便おかけ致しますが、よろしくお願い致します。