こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
納車しても納車しても、一向にバイクの数が減らず・・・
いや・・・ むしろ逆に増えており、今朝また台数を数えたら93台になってました。
ショールーム展示や工場奥に入れたままの車両が多数あるものの、どうしても毎朝毎晩
60台前後のバイクを出し入れしております。
メカニック達も大変ですが、日々何十人と言うお客様達と受け答えしながら実務も熟す
自分自身もパンクしてまして、帰宅後の夜 23時30分・・・
家族が寝静まるのを待って、ブログを書き始めました ( ̄▽ ̄;)
これだけ忙しいのは基本ありがたい事なのですが、一方では限界だと真剣に感じてます。
今回ご紹介するRCMも今年の4月に預かって作業を開始した車両で、早目に納車をと
ご希望されていたお客様でしたが、こうしてやっとご紹介が出来ている始末・・・
シリアルナンバー600番台のRCMは、もう既に数十台と製作が進んでいるのですが
500番台後半の車両でまだ完成してないマシンも結構あり、600番台車のご紹介が
ようやく始められたんです。
大変お待たせしました <(_ _)>
東京都 M・Nさんからお預かりして作業してますKZ1000、RCM-605です!
M・Nさんからお預かりしたKZは、最初こんな感じでした・・・
前後18インチホイールの仕様にブラックで引き締められたカラーコーディネートで
これはこれで良いと思いましたが、M・Nさん曰く「求めていたイメージではない」
との事から、大掛かりなリメイクを行う事になりました。
先ずは4気筒のコンプレッションを測定し、エンジンをかけて様子を見ていたのですが
かなり大きな異音が出ており「これは間違いなくエンジン内で何か起こっているな」と
言う印象・・・
とにかくエンジンを下ろして分解する事に。
腰上を分解した所で、すぐ異音の原因が判明・・・
シリンダー前側に取り付けられているカムチェーンガイドが、ポッキリ・・・ (^ ^;)
ガイド本体が折れているだけでなく、ガイドを留めている6mmのネジ穴部も折れて
消失しており、正直 これでよく止まっていたなと感じました。
でも、異音の原因がはっきり確認できましたし これなら確実に直せますから、これは
これで良しですね。
レーザー測定と修正ストレッチを終え、フレーム補強に・・・
測定や修正時の画像は、オーナーM・Nさんへお渡しするものを取っておいてありますが
案の定と言いますか、いつものZ系フレーム特有のヘッドパイプ捻じれやシートレールの
寄れ、またステアリングストッパーの曲がりなど、一通り修正が必要な状態でした・・・
もちろん、フレーム補強前に全て直して それから加工に入っております。
フゥ・・・ 出来上がりました・・・ (;^_^A
STKM13Cシームレスパイプを用いて オリジナルで施したフレーム補強はST-Ⅱ。
ヘッドパイプロアーに縦に入った補強が最も効果的で、ここだけは外せない補強・・・
17インチホイール化に伴って、ドライブチェーンラインオフセットインライン処理と
リアサスワイドスパンレイダウンも施しており、パッと見は感じないかも知れませんが
実は相当 加工しているんです。
ここ数年、塗装専門業者さんなど外注さんも忙しい様で 通常より時間がかかりましたが
美しく塗り上がって戻って来たフレームにRCM-605のシリアルナンバープレートを
打ち付けます。
これより車体の立ち上げが本格的にスタートしましたが、ここからはエンジンをお見せ
したいと思います。
経年劣化が顕著なクランクシャフトはディンクスで組み立て部を分解し、メイン&大端部
全てのベアリングとスラストシムを新品に交換して再組立てしました。
いわゆるクランクシャフトのリビルド作業を施したのですが、ディンクスはこのクランク
リビルドも得意とする作業の一つで、リビルド後の回転の滑らかさは 手で回してはっきり
わかるほど違います。
振動&メカノイズ低減、エンジン回転フィール向上など リビルドはメリット多大なんです。
オイルポンプは、これまた引っ切り無しにオーダーが入って来てます トロコイドポンプ。
今までも皆さんに お伝えして来ましたが、トロコイド式とギヤ式の最高油圧は同じです。
最高回転付近の油圧は同じなんですが、アイドリングから中回転域にかけての油圧が高く
それ故、低回転時でもオイルクーラーコアにオイルがびっしり充填され、真夏の渋滞走行
でも効果的に油温を抑える事ができるんです。
チューニングして発熱量が多くなったエンジンで、大型のオイルクーラーコアを装備して
いるマシンなら もはや必要不可欠なアイテムとも言えるでしょう。
スリーブを大径化し、ピストンもハイコンプ仕様のものに変更されたシリンダー・・・
ディンクスの最新鋭ホーニングマシン、H85AによるNCホーニングで仕上げました。
H85Aはまだ日本に数機しかないレア機で、ひと世代前のホーニングマシンとは性能が
まるで違うもの・・・
温度管理さえしっかり出来ていれば1000分台のコントロールが可能な優れたマシンで
ピストン&シリンダーのクリアランスには人一倍拘りを持って取り組んでいます。
ハイコンプ化された事から、異常燃焼(デトネーション)対策にと、ツインプラグ化を
行いました。
トルク&パワーを求めるならハイコンプ化は欠かせない要素ですが、デトネとの戦いが
始まる事となり、点火時期の設定自由度なども大きく損なわれます。
それでもツインプラグ化すれば火炎伝播性は大きく変わり、デトネを抑制できる事から
非常に優れたエンジンメニューの一つです。
ツインプラグ化は それ自体でも出力が上がりますが、実は同時に燃費も向上、振動も
低減するなど、こちらもクランクシャフトのリビルドなみにメリット多大・・・
M・Nさんには最初からお勧めすれば良かったと 今更ながら反省しております <(_ _)>
残す作業はあと少し!
M・Nさん、早目納車をご希望だったのに予定より遅れてしまい 申し訳ありませんでした!
どこかでご来店、お待ちしております。