ハーキュリーズ&スーパーモンスターエヴォリューション 2クラス混走での
決勝まで、残すところ あと1時間を切ったパドック内・・・
ほぼノーマルに近いスペックな為 馬力は落ちるが、スペアのシリンダーヘッドに
交換して組み上げたエンジンを搭載・・・
國川に決勝を走らせてやりたい・・・
もうその想いだけが 誠太郎を始めとするクルー達を突き動かしていた。
急げ! ウォームアップエリアへ!
火入れして問題ない事を車検官に確認して貰わなければ、出走許可が下りない。
残りあと10分しかなかった・・・
この時点で5分前・・・
エンジン始動後、初爆では燃焼室に残っていた残油により白煙を吹き出したが
すぐに消えて4気筒共きれいに燃え出す。
極めてギリギリ時間内での出来事だった・・・
気が付けばウォームアップエリアには この日のエントラントの方達が集まっており
火入れ直後、暖かい拍手に包まれる・・・
絶対にあきらめる事無く、頑張り抜いたクルー達の目が潤んでいた・・・
決勝開始の15時30分をすぎている為、もうグリッドに並べる時間がない。
ピットロードからのスタートである。
この時点で、ポールポジションマシンがいない事に多くの人達が気が付き出し・・・
そしてピットロードに多くの視線が集まった。
陽が落ち始めた 午後3時30分・・・
テイストオブツクバ 最強2クラスのマシンと最速を誇るライダー達が、コース上にて
まるで「早く来い」とばかり言っているかの如く 待機している。
ウォーミングアップラン、スタート。
待機していた國川もコースインし・・・
最後尾から國川が1番グリッドへ・・・
群雄割拠・・・ 正にそんな例えが相応しいとさえ感じたグリッド上で
空冷Zがポールポジションの座にある姿を見て 目が潤まずにいられなかった。
やがて全神経が集中される中
最強・最速 ハーキュリーズ&スーパーモンスターエヴォリューションクラス
2クラス混走レースの決勝が今
スタートした!
スタート直後、3号機の加速に切れがない・・・
それは見るからにあきらかだったが、それでも2番手をキープしつつ、
各マシン密集状態のまま1コーナーを回る。
おろらくは大幅にパワーダウンしており、もう57秒台は望めない・・・
58秒台をどこまでキープして走り続けられるかが 勝負のカギとなった。
驚異的な加速と運動性能を誇る、水冷最強・最速のハーキュリーズマシン達。
マシンだけではない・・・ ライダーも最高峰に位置する乗り手達なだけに
國川の苦戦を見ていて 胸が苦しい・・・
私の空冷Zに寄せたエゴと、國川にもっと安定したパワーのある水冷マシンを
与えてやりたいと言う 二つの想いが葛藤した。
今は見守るしかない、そう思った時・・・
2ラップ目・・・ 3号機に異変が起こる・・・
シフトダウンが出来ない?・・・
エンジンに何かトラブルが出ているのは、誰の目にもあきらかで。
失念・・・ 痛恨のリタイアとなった。
こうしてTOT 11月の無観客大会は終わりを告げる。
先程までの熱気が嘘の様に消え、静けさと同時に 寒さも増して来た日没・・・
58秒071のコースレコード更新と 総合でのポールポジションは獲得したが
決勝は無念のリタイア・・・
皆それでも「大きな記録を残したじゃないですか!」とは 言ってくれる・・・
が、しかし・・・
あれだけのパワー差を見せつけられれば、モチベーションも落ちると言うもの。
ましてや完走できなかったのだから・・・
このまま終る事は無念であり Round3へと引き継ぐべきなのだろうが・・・
今大会 感じたのは・・・
ハーキュリーズ&スーパーモンスターエヴォクラスのアベレージタイムは もはや
59秒台ではなく、58秒台が標準になりつつあると言う事。
空冷Zに拘ってハーキュリーズマシンに抗う行為は 愚かな事なのかも知れないと
痛感させられた事。
そして・・・
この熾烈極まる頂上決戦、空冷Zで制する事はできないとさえ思わされた。
もはや判断ができず。
ゼッケン39最後の挑戦・・・ 今は先が見えずにいます。
後輩が作ってくれた音声付き動画です。