こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
2台目、あるいは3台目のRCMを、と言うオーナーさんは意外に後を
絶たず存在しています。
今回ご紹介するマシンのオーナーさんも連続でオーダーを頂いた方で
少し前に納車されたRCM-604 CB900-Fに続く2台目のRCM。
神奈川県在住 T・Kさんの、RCM-642 KZ1000MK-Ⅱです!
今回はT・Kさんが所有されていたMK-Ⅱを お持ち込みにて製作するコース。
工場ではメカニック達がワラワラと集まって来て「程度いいっすねぇ~!」と
連呼しておりました。
確かに・・・
これほど状態が良いと、中古車相場価格としても相当な高額なんでしょうね。
タンクを外して見たら、電装系のまとめ方は「やはりそれなり」でしたが・・・
「痛んだベース車より全然良いです」と、佐々木メカは淡々と取り組んでました。
とは言え・・・
掘り下げて行くと 目に見える部分はきれいでも内部はやはりと言った感が・・・
今回この車両はRCMとして新生しますから、痛みがある電装系など 洗いざらい
ベストコンディションにしてあげたいと思います。
そして2時間後・・・
若手メカ達にエンジンの下ろし方を指導する「エンジン下ろさせ」の妙技・・・
一見 指導している様に見えて、実は自分はやらないと言う究極のディフェンス。
まぁ、 皆こうやって経験して育って行きますから・・・ (^_^;)
サクサクっとエンジンが降りました。
フレームはレーザー測定へと旅立ちますから、先ずはエンジンのガンコート塗装を
進めるべく 早速分解を開始。
ところが・・・
ヘッドカバーを開けたら 「あれっ?」
目に飛び込んで来たのは カムホルダーのボルトが一か所だけ純正の鉄製ではなく
ステンレスのキャップボルト化されていた部分。
それもキャップサイズを見る限り、すでに嫌な予感が・・・
あぁ~・・・ やっぱり ( ̄▽ ̄;)
今までも何度か見て来たケースですが、本来M6であるはずのボルトサイズが
M8ボルトに・・・
これはカムホルダーのヘッド側ネジ穴が壊れてしまい、それを修正していたと
予想されるヘリサートも更に壊れてしまって、仕方なくM8でネジ切りを行い
M8ボルトで締めつけたと言った所でしょう。
だから・・・
と言う事は・・・
ですよね~ (;^ ^A
M6ボルト用のカムホルダー穴が、M8ボルトが入る径に拡大されてました。
ご存知な方も多いかと思いますが、このカムホルダーはシリンダーヘッドと
一体成型で製造されており、カムホルダー単体で部品交換ができません。
すなわち、穴が拡大されている このカムホルダーを使用せざる得ない訳です。
ステンレスは錆びにくいですが、粘りのある材質で鉄より張力で劣る材質・・・
カムホルダーのボルトは締結張力が高くなければなりませんから、錆びにくいと
言うメリットではなく高張力な材質であるべきなんです。
他のボルト3ヵ所が鉄の純正でしたから4分の1負担で済んでたんでしょうけど
問題はこの有効深です。
この状況を見る限り、ヘッド側 この箇所にあるダウエルピンの存在が怪しい。
恐れていた状態でした・・・ ( ̄▽ ̄;)
ここは本来 カムホルダーの位置を決めるダウエルピンが入るネジ穴で、本当は
先ず ダウエルピンが入るストレート径の穴があり、その下にM6のネジ穴が
あるんですが、いきなりネジが切られています。
しかもよく見ると、ヘリサートコイルが入っている・・・
つまりM6ヘリサートが壊れた後にM8のネジ切りをしたのではなく、M8の
ヘリサート加工を追加してM8ボルトで締め付け出来る様にしたと言う事。
カムメタルが掛かるジャーナル部分にまでコイルがはみ出ていたから、これは
(やばい)と冷や汗が出ました (・・;)
もはや、精密内燃機加工専門のディンクスで修復して貰うしか手がありません。
単品ブッシュを打ち込んで貰い、M6ボルトに戻して復活させたいと思います。
数日後
う~ん・・・ 今度はフレームかぁ~
そんなに重症ではないけど、ここでちゃんと直しておくべきなんでしょうね。
T・Kさ~ん!
実は最近、今回のような「あけてビックリ」的な車両を多く見かけています。
なので、なにもT・Kさんの車両だけに限った話ではありません。
大変ですが、何としてもキッチリ直して見せますんで ご安心下さいね!