こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
MK-ⅡのRCMでご紹介できてない車両が、まだまだ沢山あります・・・
順繰りご紹介して行きますが、今回は久々気合いの入った仕様のMK‐Ⅱでして。
愛知県在住 Y・Wさんの、RCMー566 KZ1000MK-Ⅱです!
オーダーを頂いたのは かれこれ3~4ヵ月ほど前の事なのですが、ここ半年間
RCMの製作ラッシュも重なり、ようやく先日 主だったフレームの加工が完了。
忙しいのは大変ありがたい事なんですが、私達の業務は基本的に時間がかかる
ものばかりで、どの車両においてもそれは同じ事でして・・・
1台1台きちんと進めて行くと、どうしても予定をオーバーしてしまう事もあり
通常であれば4ヵ月ほどの製作期間を、今は半年位とお伝えさせて頂いてます。
最初の1ヵ間は ベース車の分解や点検に始まり、フレームのレーザー測定を
行った後、曲がりがある個体はそのまま修正ストレッチ・・・
このレーザー測定ですが、Z系RCMはもちろん その他の車両業務も含めて
この25年間で述べ500本前後ものフレームと対峙して来ましたが、なぜか
それらほぼ全てのフレームが要修正と言う状態で、フレーム補強に入る前には
必ず測定&修正を行っておくのが習慣化しているほど・・・
そうですね・・・
測定して問題なかったなんてのは、それこそ50本に1本位?・・・ (^_^;)
フレーム補強をしてからだと 補強が原因でフレーム修正がすんなり出来ません。
「補強後に機会があってレーザー測定をしたみたら曲がっていた」なんて場合は
一端 補強した部分を切断してからでないと うまくストレッチが出来ないんです。
だからフレーム補強を行うからこそ、その前に測定&ストレッチをしておく事。
たとえ時間が掛かったとしても、ここは妥協せずに施しておくべきで、決して
無駄なプロセスだとは思わない方がいいんです。
ちなみにこの566のフレームも要修正状態で、きっちりストレッチしました。
重要部位である ステムヘッドパイプ・エンジンセンター・シートレールの寄れが
きちんと整列された所で、サンクチュアリーオリジナルのフレーム補強 ST-Ⅱを
施しています。
見ての通り、これだけ補強されてからだと、しっかりと補強が出来ているが故に
フレームストレッチが難しくなるの 何となくイメージ出来ますよね・・・
フレーム補強って皆さん達が考えているよりも、ずっと頑丈になるものなんです。
だからこそ過剰な補強は なるべくやめた方が良い・・・
補強箇所はなるべく少な目で、補強材の形状や材質、寸法精度等で勝負するのが
最もできの良い補強と言えるんです。
108mmのドライブチェーンラインに対応した、インライン処理も完成・・・
ここも寸法精度が重要で、オートバイが走った時に動くスイングアームの運動を
イメージし、ドライブチェーンの軌道を設ける。
当然、チェーンと平行にアングル材を溶接してあげないとダメですし、治具を
用いて溶接しなければピボットが簡単に向きを変えるので、治具は必需品です。
とにかく元々のフレーム寸法が変わらない様に、変形しない様に加工する・・・
これはフレーム補強も含め、全ての金属加工に共通する条件だと言えるでしょう。
そしてここからが、このRCMー566ならではのメニューでして。
まずは左右 シートレールの切開から開始・・・
そう、この566はRCMで時々製作されてるシングルシート仕様車なんです!
このシングルシート仕様のフレームは、かなり大掛かりな加工が必要になるため
「佐々木向きの仕事!」と、一発で担当が決定・・・
大体この手の難易度が高い作業は、すぐ佐々木に白羽の矢が立ちます。
まぁ イジられ系フレーマーではなく、本物のフレーマーですから仕方ないんすわ
・・・・・・ (;^_^A
旋盤で削り出していたのは、このシートレールのジョイント・・・
SS400のムク棒から削り出し、中グリしてパイプ状にした段付きジョイント。
差し込むと ほぼ圧入に近いビシビシの精度で出来ており、こうする事でレールの
剛性はもちろん、精度もしっかり追えると言う訳です。
STKM13C材のシームレスパイプを、パイプベンダーで曲げ込んで製作した
レールパイプを 先ほどのジョイントを用いて繋ぎ合わせ、新しいシートレールを
構築します。
この後、ピボット側から立ち上がって来るパイプも起動を変えてシートレールに
繋ぎ合わせれば、レーシングレイダウンの基本骨格が完成・・・
そこに レイダウン治具を取り付けて、レーシングレイダウン加工がスタート。
この辺りから作業の難易度が更に上がって行きますんで、加工が得意なメカで
ないと上手く出来ません。
リアサスマウント部材は、レーシングレイダウン専用のものを用いるんですが
外からホールドするレイダウン治具だけでなく 左右のサスマウントを繋ぐ形で
パイプを芯がねとして挿入し、左右サスマウント並行精度を正確に追求します。
この手の加工をしっかり正確に行うには、専用の治具の存在・職人の腕・そして
ちょっとした閃き、少しのアイディアなど 工夫が欠かせません。
どうすれば正確に精度を出せるのか、イメージする事が求められるんですよね。
外側と内側とで、ガッチリとホールドしたまま溶接開始!
いつもの2倍、フレーム加工に時間が掛かっておりますが・・・ (;^_^A
Y・Wさ~ん!
久々凄いMK-Ⅱを造りたいと思いますんで、これから暫くの間 お付き合いのほど
よろしくお願いしますね! (^^)/