こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
【脱!空冷Z】と称して、Z系RCM中心から別機種へと切り替えて行くプランを
打ち立てて宣言したのはいいものの、”脱” どころか ”増々” になっている現状・・・
数年前までRCMは年30台程の製作台数でしたが、ここ2年ほどは40台前後の
ペースでオーダーが入っており、その大半が ”空冷Z” と言う、思惑とは全く真逆の
方向になっていて、もう キリキリ舞いしちゃってます (^ ^;)
そんな人気機種である空冷Zを「なぜ ”脱” なの?」と、皆さん思われる事でしょう。
理由は何度も言ってますが、明確・・・
車両が手に入らないんです~ ( ̄▽ ̄;)
Z系車両の枯渇は世界中で起こっており、始まったのはもう10年ほど前からの事。
最初の頃は「買えない」とは聞くものの (ほんとかな・・・)なんて疑ってました。
ところが2016年、RCM USA Incをロスに設立するべくカリフォルニアに
赴いて 現地で知った実状。
本当に無い・・・ (・・;) これが正に真実だったので焦ったのを憶えてます。
日本へ輸出がしやすい西海岸エリアは完全枯渇しており、まだあるとするなら より
アメリカ内陸側へと足を運ぶ必要がある・・・
でも、内陸治安の問題や陸送費用(とにかくアメリカはでかい!)の問題から、そう
簡単な事でもなく、更にヨーロッパやオーストラリアでも空冷Z人気が高まっていて
日本以外の諸外国からも買われてしまっていた・・・
これが事実。
RCM USAサイドのスタッフ達に頼んで「見つかったら買って日本に送って!」と
少ないながらも年に20台ほど買えていたのを、ある程度まとまった所で輸出・・・
例えばこれ、昨年の夏頃にこちらに到着したZ-1で 日本円で約150万円ほど・・・
これも昨年入荷分のMK-Ⅱで日本円で190万円ほどですが、もちろんコンテナの
レンタル料金や海運費用など諸経費は別途かかっており、1台あたり10万円ほど
経費が加わった額が実際の仕入れ価格になります。
ところがこの現象、昨年半ば頃から変化があって・・・
「う~ん、いよいよもう見つからないですねぇ~」と、連絡来たのが今年の初頭。
150万円~190万円で買えたのは昨年までの事で、今はもう残念ながら全滅。
ロサンゼルスのRCM USA Inc、2ヵ月ほど前に送られて来た社内画像・・・
KZ900&1000等も混じってますが どれも高く、日本円で200万円以上
している車両ばかり・・・
にも拘わらず KZ900&1000&LTD系は、今こうしている間も相場価格が
急激に高騰しており、約1年近くかけて集めても たったこれだけの台数しか買えず
新たな情報は ほぼ無し。
やれやれ・・・ ( ̄▽ ̄;)フ~
ひとまずRCM USAに溜まってる車両を日本に送ろうと、先月ロスの海運会社に
依頼してピックアップして貰いました。
台数は何と、わずか6台・・・
20フィートコンテナ貸し切りで 、この台数だとスカスカでしてね・・・ (-_-;)
車両だけでなくエンジン単体なども稀に入手できる事から、貴重な資源として調達。
今回は皮肉にも、車両と一緒に20フィートコンテナに楽々入ります・・・
中には痛んでる個体もありますが、分解したら中は状態が良かったなんて言うのも
意外にあるので、大切な材量になるんです。
オークションで買って「どえらく痛い目にあった」なんて経験ある方 多いのでは?
気づかない小さなクラックが入ってたり ネジ山がダメになっていたりと、ウチでも
何度も痛い目にあってるので、海外現地でエンジンアッセンブリーで入手した方が
良品だったりするんです。
オークションの仕入れだと最近では高額すぎて、それは全てお客さんにしわ寄せが
行きますし、なるべくご負担少なく それでいて確実と言う手段が必要なんですわ。
と この様な事から、世界中で枯渇している空冷Z系車両は、もはやRCMとして
ベース車を供給できるのも間もなく終わろうとしています。
今サンクチュアリー本店では空前のZ系RCMオーダーが続いており、少し前には
本当に週1台ペースで商談が決まっていたほど。
この見積もり書は全て空冷Z系のRCMで、製作が進行中の車両ばかり・・・
完成して納車する台数よりもオーダーを頂く台数の方が勝っていると言う現状です。
買い溜めておいたベース車 数十台も、ひと通り新陳代謝した感があって、今では
200万円以下で提供できるベース車と言うと、KZ900&1000&LTDに
Z1000Jや1100GPだけ・・・
それらも残りわずかとなりました。
空冷Zが好きだからこそ、ベース車からご用意できなくなるのは とても残念な事。
でも、皆さんが所有してる車両をお預かりして RCMとして製作する事はできる。
RCMとして全て造り直すべく、本日お預かりした宮城県在住 M・OさんのMK-Ⅱ。
シリアルナンバーはRCM-603に決まり、これからRCMとして大掛かりな作業を
施されるのですが、このような車両持ち込みであれば今まで同様に空冷Z系RCMを
製作できますので、車両持ち込みはとてもありがたいです。
修理やカスタムはまだ暫くは続くでしょうから、最近はパーツに力を入れておりまして。
大ヒット製品となったトロコイドローター式オイルポンプも、その一つ・・・
ビッグバルブ化をご希望の方達は、もう殆どがこの5.5mmステムのバルブKITを
ご要望になる事が多く、ステージⅡ 又はステージⅢ以上のハイカムでもバウンスする
事がない、必要とされるスプリングレートと寸法的相性の良い、熟成度の高い専用の
軽量リテーナー量産に至りました。
これら特製パーツはレースからのフィードバックであり、レースは常に様々なものを
見つけさせてくれるから 必要な試練だと感じています。
このビッグバルブと軽量リテーナーのお話しは、またいずれご紹介させて頂きますね。
レースと言えば、一番気になっているのは・・・
Zレーサー3号機・・・
時代が空冷Zから離れて行っているのなら尚の事 残したい、辿り着きたい ”頂” がある。
もう誰も挑戦しなくなってしまった その頂きとは、空冷Zが かつてない速さで走る姿。
ライダーの技量とマシンの真の性能・・・ そして運・・・
全てが揃わなければ偶然も起こりえない、最も高き頂きに辿り着いてから終わらせたい。
空冷Zって ここまで凄い走りをするんだ
ここまで行けるんだと、言葉ではなく結果で示したい・・・
もしも達成できたなら
サンクチュアリークライマックスの章は、自分の中で半分ほど終わります。
四半世紀以上、自分の人生のほぼ半分を掛けて来た想いが終わる瞬間でもあります。
自分にとってもですが、皆さんにとっても空冷Zとは大きな存在のバイクでしょう。
もしも・・・
もしも本当に空冷Zをと考えておられるなら、この先は増々厳しくなるでしょうから
皆さんも悔いなく、良かったと思えるご判断をされて下さいね。