こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
イタリア出張(その6)です。
OZMBでの二日目のミーティング中、背中にゾクゾク悪寒が走って 帰りぎわ
薬局に立ち寄り体温計と解熱剤を購入。
熱を測ったら37度8分あり、具合が悪くて まさかの展開じゃなかろうかと
焦るも、もう明日までに快復すれば良しと開き直りました。
ホテルに戻って食事でも取れば少しづつ良くなるだろう、なんて、思ってたのが
とんでもない・・・
ようやく陽が落ちたばかりの時間帯だと言うのに立っておられず、解熱剤を飲み
こりゃブログ書いてる場合じゃねーよ (^ ^;) と、迷わず就寝。
朝9時に起床したので、およそ12時間も滾々と寝続けていました・・・
だいぶ体調が良くなった気がしましたが、まだ何となく変かな・・・
とは言え、半年以上前から予定していた会社訪問を中止する訳にも行きません。
自らを奮い立たせ、ミラノ郊外に在る その会社に到着。
話自体は1年近く前から出ていた この会社との取引き・・・
何の会社? どんな会社? かと言えば・・・
カムシャフト専門の製造メーカー、コロンボ&バリアーニ社と言います。
1934年創業の老舗メーカーで、遡る事1970年代から1980年にかけて
F1マシンのエンジンにもカムシャフトを提供して来た実力ある老舗メーカー。
常識の範囲で言えば、F1にパーツ供給すると言うのは 二輪のMoto-GPと
同様、実力ありきのメーカーでしか出来ない資格ですから、それだけでも充分に
訪問する価値アリ、と言う事なんです。
これは、カムシャフトのプロフィールを測定する専用機・・・
先代の社長 コロンボさんの時代から使っていたものを、息子さんの二代目社長が
デジタル機能を加えたアップデート仕様で 今も測定機として活躍しているとの事。
だから、造りたいモデルカムのプロフィールデータは特に必要ないんだそうです。
大手4輪メーカーからのスペシャルカムシャフト依頼品もあり、撮影可能な範囲は
限られていましたが、聞けばゾロゾロと、あのメーカーもか、このメーカーもかと
憧れの高級4輪メーカー社用カムの特別オーダー品が沢山製造されていました。
直系でΦ100は越えてるだろうと思える、鉄のムク棒材・・・
これはカムシャフトではなく
これから一体型クランクシャフトを削り出すとの事。
ワンピースクランクシャフトを削り出してるメーカーさんは日本でも知っている
業者さんがいたので驚きはしませんでしたが、カムシャフトだけでなくクランクも
造っていたのは知りませんでした。
これは船舶エンジン用のカムシャフト。
4輪に限らず、レシプロエンジン用カムシャフトであれば何でも造れるらしく
世界各国のユーザー達からオーダーメイドカムの依頼があるんだそうです。
なるほど、と言う事は・・・
ありました。
これは、オートバイ用のスペシャルオーダーメイドカムシャフトです。
Moto₋GPと同じく、オートバイのもう一つの世界選手権 WSBKレース
その600ccクラス、ワールドスーパースポーツのチームから依頼された
カムシャフトで、詳細は書けませんが たまたまあった物を見せてくれました。
二輪の世界選手権チームから依頼されるカムも数多く手がけているとの事で
もう それだけでも高いハードルを越えた実力を持っている事がわかります。
こっちも、ありました ありました!
先行で自分が送っていたモデルパーツ達・・・
これを見てピンと来た方が多いと思いますが、そうです、Ninja!
GPz900R用のカムシャフトをリプロダクトしようと1年以上前から
構想しており、ここイタリアのコロンボ&バリアーニ社に辿り着いていた
訳だったんです。
サンクチュアリーのNinja系コンプリートマシン、NewTYPE-R
そのエンジンオーバーホールに使用する純正のカムシャフトが欠品となり
カムを交換したくても出来ないと言うジレンマに悩まされていたんですが
手に入らないなら手に入れられる様にするしかない!と、水面下で企画が
進んでいたんです。
その造ろうとしているリプロダクトカムは、何と言っても現実的な価格帯で
購入できるもの・・・
そして、コスト感だけでなく 表面硬度も純正以上のものである事と言うのを
コンセプトに話を進めていました。
まだこの場で語れませんが、表層の硬度を上げる技術は何通りもあるらしく
相手側、すなわちロッカーアームにダメージを促進させてしまうほど表面の
硬い処理をカムに施すのは正しい考え方ではないよと指摘されました。
また、ご存知のオイル射出する穴に関しては、世界中の多くのメーカーが
このオイル穴構造を採用しており「効果が全くない訳ないでしょうよ」とも
語っておりました。
確かに、このワールドスーパースポーツマシンのカムにもオイル穴構造が
設けられておりましたね・・・
自分が普段はメカニックとして現場で仕事をしている事を話すと、それがとても
嬉しく感じてくれたのか、同じエンジニアとして歓迎してくれました。
そうですよね・・・
机上の論でデスク上で仕事をしてるだけではなく、実際に機械工作機を使ったり
溶接をしたり、そう言う仕事している者だからこそ理解し合える世界がある。
これ、世界共通なんだな~ って 思いました・・・
GPz900R Ninja用 リプロダクトカムシャフト。
より優れたものを、皆さんがリーズナブルな価格で購入できるようになると
いいですよね。
数か月後の結果に、ご期待して頂ければと思います。
余談ですが、この後また 超体調悪くなりましてホテルの部屋で寝込みました。
ちょっと わかって来た気がするんですが・・・
これ、 たぶん熱中症だと思います (;^_^A
(最終回)に続く