こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
昨年の秋から年末にかけオーダー頂いた複数台のRCM達は ぼちぼち紹介を
始められましたが、今年の初頭から春にかけ新規オーダーとなったRCMが
実は相当な台数ありまして、それらが全くご紹介できておらず 今回からまた
何台かご紹介したいと思います。
ヴィンテージ車両の世界的な枯渇がますます進む中・・・
ベース車両はどんどん状態悪くなっているにも拘わらず、値段だけはどんどん
上がると言う深刻な状況でして・・・
ぶっちゃけRCMって あと10年やれるのかな・・・ なんて事を 真剣に
考えされられるんですが、そんな複雑な心境などお構いなしで新規のRCM
オーダーが毎月3~4台ペースで入って来てまして、今は何とかなってますが
数年後どうなっちゃうんだろかと本気で心配しております (;^ ^A
今回よりご紹介するRCMは、オーダーを頂くにあたって ベース車の程度や
価格などが高いハードルになった車両でして、何かとご迷惑おかけしましたが
オーナー様のご理解・ご協力の元 晴れて製作へと辿り着いた1台・・・
大阪府在住 S・Nさんの、RCM-525 CB1100F(その1)です!
コンディションが良い、きれいなCB1100F・・・
これが入手出来てなかったら S・Nさんのマシンは始まっていませんでしたね。
CB‐F もしくはCB1100RでのRCMは製作するにあたり、純正パーツの
メーカー欠品が多く、特にエンジンはオーバーホールを行う上で重要部品が入手
出来ない事から完璧なオーバーホールが難しいと判断しており、少し前に製作
されたクラフトマンシップRCMー460 CB1100Fを最後に 80年代の
空冷CBのRCMは事実上もう造れないと思います。と 宣言していたんです。
ところがある日S・Nさんから「RCM-460と同じレベルのマシンを!」と
ご相談頂いたんですが、それはかなり厳しい・・・ いや、もはや無理ですと
当初は私達の方が弱腰だったんですがS・Nさんの情熱は消えずに、ご予算への
協力と状態良いベース車が見つかった事から実現に至ったと言う経緯でした。
実は今だから言いますが、このベース車 見つけた時は焦りました・・・(^^;
予算内で収まる値段だったにも拘わらず とても程度良い個体だったんです。
もちろん元々は海外にあった車両で メーターの積算数も本当に正しいのか
わからない車両ですから、RCMとして全メニューを施すのは必要な事・・・
それでも最初の状態が悪いと、先ほども言った様にパーツ交換をしたくとも
出来ないと言うジレンマで止まってしまいますから、空冷CBシリーズ車に
関してはベース車の良し悪しが大きな要因となって来るんです。
こうして再び空冷CBのRCM製作がスタート!
分解し深くへ進んで行っても変わらず状態が良い! これは嬉しい事です ♪
細かい事を言うなら 例えばこのシート・・・
シートレザーのコンディションではなく、裏側に装備されてるブラケットや
ダンパーと言った類の部品が すごくきれいで状態が良い・・・
エンジン部品に限らず こういう小さなパーツも80年代空冷CBではますます
入手が難しくなっているので、この辺の部品を再使用できると言うのは本当に
ありがたい事なんです (^^)
エンジンも当然 クランキングを確認・・・
圧縮も残っているし、何よりこのエンジン塗装の痛みがないのが素晴らしい!
「結局ガンコートするんだから関係ないんじゃん?」と 思うかも知れませんが
これだけ塗装状態が良いのは、すなわち保管が良かったと言う事でしょうから
大切に乗られていたんだと思うんです・・・
海外の前オーナーさんがどんな風に所有されていたのか、大事な要素ですよね。
アッと言う間にフレーム単体になったのが、ひと月ほど前の事・・・
ここからいつもの如く、レーザー測定&ストレッチへと旅立ちました。
フレームをレーザー測定してみると、ステアリングヘッドパイプがわずかに
右へ振っているのがわかります・・・
たぶん1~2度程度だと思うんですが、これが80年代当時の生産ライン上の
精度なのか あるいは転倒など外的要因によるものなのかは判断できません。
大事なのはフレーム補強やパウダーコーティングと言った このあと行う作業を
する前にきちんと修正をしておく事なんです。
他にもエンジンマウントやシートレールなど、空冷Zやカタナなどで多く
見られるフレームのよれ、曲がりなど、このCBではそれほどダメージが
見当たらず・・・
それでもミリ単位、1~2度単位で精度を出すべく 作業が進行しました。
1~2度程度のよれが実際に走らせた時、どの程度の悪さをするかは なかなか
体感できる程のものではないでしょう・・・
でも、例えそれがわずかな狂いであっても前後タイヤがピシッと真っ直ぐ揃って
ないのはあきらかだし、前後輪でタイヤの接地角度が違うなんてのは きわめて
気持ちが悪い状態ですから、きちんと整列されているに越した事はない。
ほんの少しの要素かも知れませんが、後々やろうとした時に大変になる作業を
製作時にちゃんと施しておく・・・
これがRCM製作における 基本的な姿勢であると言えるんです。
ストレッチを終えたフレームが 再び工場に戻って来ました・・・
いくらベース車の状態が良いとは言え、これから施すメニューは多数あって
オーナーS・Nさんには半年~1年の長期製作コースになる事を ご理解頂いて
臨んでおります。
地味な一歩ですが、まずは不要部の切除から・・・
最初から半年~1年なんて長い納期を提示するのは、RCMでは少ない事。
大概キリ番RCMも含めてトップランキング入り系のシリアルばかり・・・
ましてや80年代空冷CBですから、自ずと気合いも入ると言うものです!
S・Nさ~ん!
これから暫くの間 お付き合いのほど、よろしくお願いしますねー! (^^)/