こんばんは、サンクチュアリー本店の中村です。
かれこれ、さかのぼる事10ヵ月も前・・・
「買うわ! A16!」
「このRCM-076、下取り出したら いくら!?」
2019年5月、 二桁ナンバー 076のオーナー S・Iさんが
車検の継続依頼にと立ち寄っただけなのに、ショールームにあった
RCM USA A16S‐009に跨っただけで、えらく気に入られ
衝動買い?・・・ ( ̄▽ ̄;)
このS・I さん、古くからのお客さんで 無類のZ好き!
生粋のRCMオーナーでもあり・・・
極〇空手の師範代と言う、真っ直ぐで きっぷの良い方なんですが
「1年位で出来る? そう! じゃあ~ よろしくねっ!!」 と
お帰りになられて、その後 どうなったかと言うと・・・
昨年9月から白熱化した Zレーサー3号機の熾烈な頂上決戦もあり
残念ながら ほとんど進まず・・・
年があけ、自分がオーダーした夢のRCMが どうなったかと言う
事もあり、打ち合わせも兼ねてご来店されていました・・・
約束の期間1年まで 残り3ヵ月程となった事から、ここから猛追
していかねばなりませんが、S・Iさんの求める仕様に 妥協なし。
そもそも S・Iさん、所有していた RCM-076 Z‐1に対し
不満があった訳ではありません。
むしろ メチャメチャ気に入ってたんですが、それを手放してまで
A16に胸躍らせてたんで、自ずと気合いも入るというもの・・・
S・I さん 長年Zが好きだった事もあり、またバイクライフも長い
ベテランと言う事もあってか、自分達が造ったオリジナルフレームの
造形美に惚れ込んでくれてまして。
そこまでは本当にありがたく 光栄な事なんですが、外装デザインの
造形美を追求しており、そこが問題・・・ ( ̄▽ ̄;)
A16は、元々スタートエディションと言うベーシックな仕様の
オートバイを基点とし、そこにオリジナルのカスタムを加えて
完成させると言う、オーダーメイド方式・・・
故に 今まで製作された全てのA16が、このフレーム加工から
作業スタートとなっています・・・
これがスタートエディションモデル。
わかりやすい様に フレームにパウダーコートが施されていますが
実際にフレームには塗装がされていない状態・・・
このマシンをベースに、パーツのアップグレードが入るのですが
どんなパーツにするかはオーナーさんと打ち合わせて決めており
一台一台が個性的になって行く。
ブレーキ・ホイール・エキゾースト、そして前後スプロケット数は
変更できませんが(色変更ならOK)それらの部分だけ除いて 他は
好みの仕様に変更できる為、カスタムの幅はとても広い・・・
広いが故に 最も難関となるのが・・・
外装デザインです。
例えば上の画像の様に、Z1系ルックで行くなら それ程でも
ないんですけど、完全オリジナルデザイン・・・
それもスーパースポーツ系ルックとなると 何もかもワンオフで
外装をコディネートする様な事となるんで、そりゃあ~ もう
大変!の ひと言なんです・・・ (^^;)
記憶に新しい昨年11月のTOT、ハーキュリーズ&Sモンエヴォ
混走2クラスの決勝で 58秒664のタイムを叩き出し優勝した
Zレーサー3号機も 本店で製作したA16のオリジナルフレームで
コンパクトかつ高剛性なシャシーにより Zのノーマルフレームでは
どうしても届く事が出来ない 高みへと辿り着いたマシン・・・
この3号機の外装が正しく ほぼワンオフのコースで、タンクなんて
工場にある板金ツールと溶接で単品製作しましたから、この路線は
真に技量あるメカニックでないと出来ないんです。
中村の愛機 RCM-001なんて、まだ可愛い方・・・
側面の張り出し方やエクボなど、3Dでの造形美を求めるとなると
これはもう・・・
ま~た、トンカントンカン・・・ (-“-)
でも S・I さん
妥協する気など 一切なしで、ニコニコしてたなぁ~ (;^ ^A
と言う訳で ワンオフアルミタンクの材料を用意し、これより
手作業による板金加工へと移行します。
こうなるとやたら出番の多い3本ローラー・・・
ムラなく均一に綺麗に丸めたいので、どうしても必要な工具です。
TIG溶接は 基本、薄い板物だと意外にきれいに出来るもの・・・
2mm位の板厚であれば 何回か経験するだけで上手くビードを
出す事が出来るんですけど・・・
問題は歪でして、箱物を歪なく溶接するとなると 一気に難易度が
高くなるんです・・・
溶接はきれいに出来たけど よ~~く目を凝らして見たら 歪んでる
なんて言うのが実は多いの、ご存知でしたか?
でも自分達が手掛けるとなれば そうも行かず・・・
クレーターでリズムを作り 冷やしながら進めるのが、薄板箱物の
溶接における重要なテクニックなんです。
今度はタンク本体の底部を造るべく、ふたたび3本ローラー・・・
タンクと一口に言っても、実際には結構複雑な形状をしているのが
造ってみて初めてわかるもの・・・
曲げ込みが出来たところで・・・
今度は油圧プレスを用い、やや鋭角な曲げを追加。
ちなみにこの手の作業は手順が命で、間違えると やばいです (^^;)
そんな段取りも大事ですが、根本的にはメカニックの技量が試される
分野で、専用の機械や工具があったから出来るなんて、甘いものでは
ありません・・・
この手の加工こそが、最もセンスと技術を要求される作業であると
そう感じますね。
今回はフレームをTスロットテーブルに固定したまま、タンクを
先に造ってしまう作戦・・・
時間が掛かる外装ペイントを同時進行で!と言うのが 狙いですな!
少し前で この状態・・・
う~~~・・・む・・・
あと3か月で全て完成させると言うのが、連想できん ( ̄▽ ̄)
S・I さ~んっ!
只今凄い勢いで進んでますんで、ご期待くださいねーっ!!!