J・IさんのZ1000R・RCM-155第2回目。 前回フレーマーの藤本に託したフレームですが
同じZ系でもZ-1やMK-Ⅱ等とは違い、フレーム補強や加工の作業内容が、全然異なります。
まずはフレーム補強。 Z-1と同様、スイングアームピボット上部に、バイパスを入れます。
その後、曲がっていたエンジンマウントを強化する為、写真の様な状態をセッティングします。
またがって左側、エンジンマウントカラーを、接面するフレーム側に溶接する為の工程です。
グリーンのパイプは固定冶具で、Z1000J/R系専用品です。(冶具は絶対必需品です。)
スイングアームピボット間にも冶具を入れてあり、計2箇所の冶具を駆使して、溶接します。
こんな感じになります。 左右のバイパスはΦ25のパイプ。その手前にある短いパイプは、
Φ22のパイプで、材質は炭素鋼STKM13Cです。 このSTKM13C。非常に優れた材料で
クロモリよりも溶接性が良く、かつ、スチールフレームには欠かせない性質。”靭性”があります
ノーマルフレームの材質はクロモリではないので、溶接後の定着性や、剛性の相性を考え、
ウチではSTKM13Cをよく使います。この辺りのチョイスひとつで、フレームチューニングの
出来・不出来が大きく違ってきますから、カスタムして行く上では重要な要素だと言えます。
続いてレイダウン加工に移ります。Z1000R系カスタム車ではあまり見かけないレイダウン。
RCM-155では、よりリアサスを動かしたいと言う観点から、レイダウンをする事にしました。
いつも使っているSTDのレイダウンブッシュ では無く、違った形状のブッシュを使用します。
左右に繋がっているパイプも実は冶具のひとつで、作業終了後に切断して取り外します。
いつも言っておりますが、このレイダウン加工だけは、専用冶具が絶対必需品な作業です。
左右の位置、ブッシュの平行度など、キチンと精度を出すのに冶具なしでは出来ません!
これまで何台このレイダウンの不良車を見て来た事か・・・?左右の下穴を開ける位置が
チンバだったり、ブッシュが平行でなく反っていたり、以外にけっこう沢山あるんですよね・・・。
せっかくの愛車なんだから、出来るだけ正確で、精度の高い加工をしてあげたいモノです。
シートレールのアングル部に、ブッシュを食い込ませる形の形状の為、補強をあてがいます。
SS400材のプレートを切り出し、板金ハンマーで少しずつ形成しながら、溶接して行きます。
リアサスの左右取り付け幅、290mmのワイドスパン・レイダウン加工、完成です!
このほんのチョット角度を付けただけで、驚くほどリアサスのストローク感が変わります。
初期入力時の作動性もよくなるし、ハードなバネレートのレーシングショックを使うのであれば
Z1000Rでのレイダウンは、かなり良い効果を発揮しますよ!(これは本当にイイですわ!)
純正ステップマウント部を削除し、新たにバックステップ用のマウントボスを溶接するのですが
180化されるリアタイヤに合わせ、チェーンラインは最低でも102ミリまでオフセットさせる為
チェーンの通過軌道、確保の為の”インライン処理”を施す必要があります。
「どれどれ・・・」 試しにZ1000Rのフレーム左右幅を、実測してみましょう。
238ミリ・・・。やっぱりと言う感じです。 この幅で180リアタイヤに対応するチェーンライン値
102ミリまでオフセットを掛けると、確実にフレーム内側とチェーンが、モロに干渉しますわ!
Z1000J/R系は、リア180タイヤを入れるにあたって、フレーム側へのインライン処理は
絶対に必要な作業です。 そんな訳で、次回はその辺りの模様をお見せ致しましょう!