こんばんは、ノーブレストの中村です。
前回に引き続き、カムチェーンガイド開発(その2)です。
ゼファー1100の場合、カムチェーンだけでなくクランクシャフト駆動で
スターターやオルタネーターを動かすプライマリーチェーンがあります。
そのプライマリーチェーンガイドも廃番になっている為、これも同時進行で
製作を進めていました。
純正プライマリーチェーンガイドのゴムを切除し、芯金をスキャンして図面化。
これは・・・
簡単そうに見えて意外に難しい形をしていたんです。
これも3Dモデリング化し、芯金の金型とは別にゴム生成用の金型も製造。
形状が微妙に特徴的で、金型にはめ込む際の精度が要求される部品でした。
奥が純正の中古品で、手前が金型からプレス成形したオリジナルの芯金。
芯金は反力を有した素材で、一般的な鉄よりも硬さのある素材なんですが
よく見ると、M6ボルト穴が開いてる部分まで僅かにオフセットしながら
曲げ込み成形されており、金型を二度造り直してやっと出来上がりました。
このプライマリーチェーンガイドもNBRの上にフィルムコーティングが
施されており、カムチェーンガイドと同じく材質違いの二層構造だった為
ゴム精製時に溶着する事としました。
どんな部品もテスト検証してからでなければ、一般販売はできません。
部品の材質や製造工程を見定め、形状をスキャンし、2D&3Dで図面化し、
専門メーカーの方達と打ち合わせしながら試作を造る・・・
ここまでの工程も大変ですが、実はテスト工程も同じくらい大変なもので
エンジンを下ろして全分解し、部品を交換して組み立て また積んで走らせる。
耐久性を確認したいテストだから走る距離も1000~2000km程度じゃ
とても足りず、1万kmとか目指して長い距離を走らせる必要がある。
更には、より強い負荷をかけた走行も必要であると・・・
この後半のテストこそ、地味に大変な工程なんです。
試作のプライマリーチェーンガイドをアッパークランクケースに取り付けました。
寸法に違和感なし。
こちらはプライマリーチェーンのテンショナーで、まだ入手可能なもの。
これが入手できなくなると、複雑なブラケット部分やテンショナー構造も
造らなければならないので、大変そう・・・(;^_^A
まぁ、まだ暫くは大丈夫でしょう (と、自らに言い聞かせてます)
シリンダーから上のセクションへ移行。
カムチェーンノイズ原因の一つでもあり、もっとも酷使されるガイドであろう
リアカムチェーンガイド。
こちらも違和感なし。
フロントチェーンガイドもブロックに挿入。
自分で言うのもなんですが、形状・寸法・質感、どれをとっても純正品を
組んでいるように感じます。
もちろん、違和感なし。
そして、こちら
アッパーチェーンガイドだけは何故か二層構造になっておらず、純正同様
NBRのみで造りました。
フィルムコート溶着されてはいませんが、純正ガイドをゴム硬度検査して
同じ硬度で造っています。
ヘッドカバー裏側に取り付けし、これも全く違和感なし。
エンジンが組み上がりました。
走らせてからまた全分解しますから、気の長~い事やってますわ (^_^;)
作業を担当してくれた永井メカは手が早いですね。
手が早いって、変な意味じゃないですよ(笑)
また、手が早いからと言って 何もチャッチャ仕事って言う訳でもありません。
作業が早いのに丁寧で間違いがないのは「集中力」があるからでしょう。
また「メカの仕事に飽きていない」と言うのも大きな要因だと思いますね。
とにかく、自分が予想していたよりも早くエンジンが搭載されました。
それでは火を入れます・・・
今回ばかりは、いつにも増してドキドキする火入れだな・・・ (;^ ^A
無事にエンジン始動。
暫くエンジンからの音に聞き入り、軽くブリッピングして様子を見る。
うむ・・・
とても静かです (よっしゃ! (# ゚Д゚)/
この後 ロードテストで走行距離を重ねて行きますが、500kmばかり
走るとカムチェーンテンショナーの調整が必要になるでしょう。
ロッドを1ノッチ押して、再び走り出す・・・
とにかく距離を延ばしまくり、そして最後のテストはコース走行・・・
当日天候に恵まれたら、コースでのテスト模様もご紹介したいと思います。
(その3)に続く